G20、新興国資金の流出など課題山積 通貨下落で懸念、ドル建て債務の拡大

トルコリラ対ドルレートの推移
トルコリラ対ドルレートの推移【拡大】

  • アルゼンチンペソ対ドルレートの推移

 11日に開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、一部の新興国で見られる急激な通貨下落のリスクについても話し合われた。米国が利上げを続ける中で、新興国から投資マネーを引き揚げる“逆流”の動きが強まり、通貨が売られ始めている。新興国は米ドル建ての債務を多く抱えており、自国通貨が下落すれば債務は膨張し、返済に窮する国が出てくる懸念もある。

 逆流の遠因は2008年のリーマン・ショックだ。先進各国の中央銀行が景気下支えのため低金利政策をとったため、新興国に投資する流れが加速。しかし、景気が回復すると米国は15年に利上げを開始。今年に入っても3カ月に1度のペースで利上げを続け、再び投資マネーが米国に戻っているのだ。

 国際通貨基金(IMF)も9日に新興国から1000億ドル(約11兆3000億円)規模の資金が流出する可能性を指摘し、新興国経済に及ぼす影響に懸念を示した。

 新興国の通貨下落で懸念されるのがドル建て債務の拡大だ。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「新興国の多くは国内経済が未成熟なため、設備投資などは海外からの借り入れに依存するケースが多く、債務に占める外債の割合が高い」と指摘。こうした国で通貨が下落すれば、ドル建て債務が膨らみ、返済が困難になるのだという。

 足元で下落が目立つ通貨はトルコリラやアルゼンチンペソ。トルコリラは1ドル=6リラ前後で1年前から約2.4リラ下落。アルゼンチンペソも1ドル=37ペソ前後と約20ペソ下落している。通貨の下落は輸入価格が上がるなどインフレにもつながるとされる。トルコの9月の消費者物価指数は前年同月比24.52%上昇した。既に物価高騰が国民生活を直撃し始めている。(バリ 西村利也)