【G20】世界経済の減退リスク高まる 米中対立に歯止めかからず (1/2ページ)

 【ヌサドゥア=西村利也】12日閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は米国と中国の貿易摩擦緩和に向けた具体的な解決策は示せなかった。これまでG20は保護主義拡大による世界経済の下振れリスク回避を試みてきた。だが、トランプ米政権の自国優先主義に端を発して米中が追加関税を掛け合う「貿易戦争」は過熱。世界経済減速への危惧は高まり続けている。

 閉幕後、記者会見した議長国アルゼンチンのドゥホブネ財務相は、世界貿易は成長の重要な原動力だとして、「貿易摩擦は解決する必要性があるとの認識を共有した」と説明した。

 国際社会の懸念は強く、国際通貨基金(IMF)は9日、米中の貿易摩擦によりサプライチェーン(部品の調達・供給網)に悪影響が出ることなどを踏まえ、世界経済の成長率見通しを約2年ぶりに下方修正した。G20開幕直前には、米中の貿易摩擦への懸念などから株価が世界同時に急落するなど、世界経済に変調も出始めている。

 トランプ政権が、中国による知的財産権の侵害を理由に500億ドル(約5兆6千億円)相当の中国製品に25%の制裁関税を課すと発表したのは6月。7月には第1弾の340億ドル分を発動し、8月に第2弾の160億ドル分、9月には、さらに第3弾として2千億ドル分の追加関税を課した。今後は、残る全ての中国製品に関税を課す可能性すら示している。

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