企業向け投融資、化石燃料離れ急増 温暖化対策重視にシフト、日本は立ち遅れ

 化石燃料に依存する企業から投融資を引き揚げる機関投資家や金融機関が世界で急増し、その運用資産総額が4年前の120倍、6兆2000億ドル(700兆円)に上るとの報告書を米投資顧問会社が12日までにまとめた。地球温暖化対策を重視する姿勢の表れで、引き揚げを明言した機関投資家などの数も同じ期間に約200から約1000に伸びたが、日本は立ち遅れが目立つ。

 投融資の引き揚げは「ダイベストメント」と呼ばれる。世界で「脱炭素」を目指すパリ協定が2015年に採択され、投資判断に影響しているとみられる。二酸化炭素(CO2)規制の強化で投資が回収不能になるリスクを避ける意図もうかがえ、今後も拡大しそうだ。

 米投資顧問会社アラベラ・アドバイザーズの報告書によると、ダイベストメントの方針を示した機関投資家などの資産総額は14年に520億ドルで、その後急拡大した。

 既にノルウェーやアイルランドの政府系基金が表明。米ニューヨーク市は今年1月、管理する年金基金計1890億ドルを5年以内に引き揚げる方針を示した。米医師会やカナダ歴史博物館も続く。

 ダイベストメントは環境や人権問題の対応が不十分な企業から投融資を引き揚げることを指し、温暖化関連では化石燃料業界などが対象になる。

 日本では機関投資家や金融機関による表明はない。一方、日本生命保険や三井住友信託銀行などは石炭火力発電所への新たな投融資をしない方針を打ち出している。