人手不足 外国人雇用、明確な未来図必要 (1/2ページ)

 日本企業の存続を人手不足が脅かしている。アベノミクスによる好景気で倒産件数全体はバブル景気時に匹敵する低水準にもかかわらずだ。競争力が弱い中小零細企業が人材獲得競争のしわ寄せを受けており、政府は外国人労働者の受け入れを拡大する方針。ただ、場当たり的に門戸を開けば社会不安をあおりかねず、産業育成や次世代の担い手不足という構造的課題の解決にもならない。政府はこの国をどこへ導くのか、明確な未来図を示すべきだ。

 人手不足倒産は中小零細企業に集中する。経営体力が弱いためIT化や自動化などの省力化投資に限界がある上、従業員をつなぎ留めるため成長性を度外視した“決死”の賃上げに踏み切った結果、破綻するケースが後を絶たないからだ。

 日本の景気拡大は来年1月に戦後最長を更新する見通し。好景気の中で倒産が伸びるのは奇異に映るが、人手不足は長引くデフレで事業意欲が減退した経営者が廃業を選択する“最後のひと押し”になっているとの指摘もある。今後は人繰りが付かないために黒字経営でも破綻する求人難型倒産の増加に注意すべきだ。

 地方や中小零細企業の悲鳴を受け、政府は外国人労働者の新たな在留資格制度を来春導入し、熟練した技能を持つと認定された資格者には家族も含め永住を事実上認める。単純労働を含めた外国人材に広く国を開く大きな政策転換だ。

 外国人労働者数は2017年までの5年間で約128万人に倍増し、既に全就業者の2%を占める。低賃金・低スキルの外国人労働力をこれまで以上に活用できれば、人手不足に悩む企業にとって大きな力となる。

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