9月の訪日客数は215万9600人 5年8カ月ぶりの前年割れ

訪日外国人旅行者の伸び率
訪日外国人旅行者の伸び率【拡大】

  • 外国人観光客らでにぎわう浅草の仲見世=16日午後、東京都台東区(飯田英男撮影)

 観光庁は16日、9月に日本を訪れた外国人旅行者は推計で前年同月比5.3%減の215万9600人だったと発表した。台風21号の影響で関西国際空港が一時閉鎖されたことや、北海道の地震発生後に東アジアで旅行を取りやめる動きが広がったことが原因。訪日客が前年同月比でマイナスとなったのは、尖閣諸島(沖縄県)の国有化で日中関係が悪化した平成25年1月以来、5年8カ月ぶり。

 田端浩長官は同日の記者会見で、「訪日客の27%が入国する関空の閉鎖影響が大きかった」と指摘した。

 日本政府観光局のまとめによると、9月の国・地域別のトップは中国で、3.8%減の65万2700人、韓国が13.9%減の47万9700人、台湾が5.4%減の32万9100人、香港が23.8%減の12万6200人と続き、訪日客全体の7割超を占める上位4位はいずれもマイナスだった。

 訪日客の伸び率は2~6月は2桁台を維持したが、6月の大阪北部地震以降は鈍化。7月は5.6%増、8月も4.1%増と大きく減速した。

 10月以降の見通しについて田端氏は、関空が既に復旧していることを挙げ、「関西は回復基調になっている」とする一方、韓国や香港では地震の風評被害で北海道旅行を控える傾向が続いていると指摘。「32年に訪日客を年4000万人に増やす目標に向けて早急に回復を図ることが重要だ。ありとあらゆる施策を講じる」と強調した。

 観光庁が同日発表した7~9月期の訪日客の旅行消費額(1次速報値)は1兆884億円だった。今年から統計手法を変更したため、前年との単純比較はできないという。