商工中金、21年度末までに国内店舗を1割超削減 人員も採用抑制

商工中金=東京都中央区八重洲(寺河内美奈撮影)
商工中金=東京都中央区八重洲(寺河内美奈撮影)【拡大】

 政府系金融機関の商工中金が、2021年度末までに国内の店舗を1割超削減する方針を固めたことが17日、分かった。全職員も1割超削減する方向で調整する。不正融資の温床になった国の制度融資「危機対応融資」を大幅に縮小する一方、経営効率化によって収益力の改善につなげる。近く公表する21年度を最終年度とする中期経営計画に盛り込む。

 商工中金は国内に100店舗を持つが、商圏が重なる大都市圏を中心に統廃合を進め22年3月末までに14店舗を削減し、3店舗は機能を縮小する。地方店舗では地域のニーズを見極め、業務の絞り込みを検討。人員も採用抑制などで、全職員約3900人の1割超を減らす見込みだ。

 商工中金は、大災害や金融危機で業績が悪化した企業の資金繰りを、国が支援する危機対応融資を基幹業務としてきた。だが、他の金融機関との競争が激化する中、危機対応融資で資料改竄(かいざん)などの不正が発覚。国内の100店舗中97店で不正が発覚し2度、業務改善命令を受けた。このため危機対応融資は東日本大震災級の事態に限定。ビジネスモデルの転換を進めている。