【経済インサイド】相次ぐ仮想通貨流出 “限界”知りつつ規制する金融庁の苦悩 (2/2ページ)

ビットコインが流出したテックビューロの関係先が入居する御堂筋沿いのビル=20日午後、大阪市中央区(恵守乾撮影)
ビットコインが流出したテックビューロの関係先が入居する御堂筋沿いのビル=20日午後、大阪市中央区(恵守乾撮影)【拡大】

  • テックビューロ本社が入居するビル=20日午後、大阪市
  • ビットコインが流出したテックビューロが入居するビルに集まった報道陣=20日午後、大阪市西区(恵守乾撮影)
  • ビットコインが流出したテックビューロが入居するビル=20日午後、大阪市西区(恵守乾撮影)

 システム上の弱点も残る。交換業者が仮想通貨を取り扱う際、流出を防ぐにはネットワークから切り離した「コールドウォレット」で保管することが最も安全な方法とされる。しかし、コールドウォレットは顧客の注文に即応できない欠点がある。そのため、今の技術ではネットワークにつながった「ホットウォレット」と併用し資産管理をしている事業者がほとんどなのだ。

 コインチェックが580億円相当を盗まれた際も、今回も盗まれた仮想通貨はホットウォレットに置かれているものだった。

 犯人の足取りを追うのも困難だ。盗んだ仮想通貨が匿名性が高い通貨に交換されたり、匿名性の高い保管場所「ウォレット」などを経由すれば、最終的に誰が現金化したのかを追跡することは至難の業だ。犯人にとっては銀行強盗よりも、はるかに安全で効率的に現金を手にすることから、仮想通貨交換業者は「犯罪者にとってはおいしいターゲット」(関係者)なのだ。

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 仮想通貨交換業者でつくる業界団体「日本仮想通貨交換業協会」の奥山泰全(たいぜん)会長(マネーパートナーズ社長)は今月3日に開かれた金融庁の仮想通貨に関する研究会の席で、「国家的な動きも指摘されるほど、仮想通貨交換業者に対しては組織的なサイバーテロが行われている」と危機感を口にした。

 ある金融庁の職員は「流出は今後も起こる可能性があり、大事なのは起こったときの被害をどれだけ小さくできるかだ」と語る。ただ、悩ましいのは、たとえ被害を最小限に抑えられたとしても、再び流出させたことに対する批判は免れない点だ。

 同職員は「イノベーションの芽をつぶさないために、われわれとしてはできることをやるしかない」と言葉少なに語った。(経済本部 蕎麦谷里志)

 ■テックビューロ 仮想通貨交換サイト「Zaif」を運営する交換業者。平成26年6月に設立され、大阪市に本社を置く。金融庁に登録を済ませた仮想通貨交換業者で、国内では大手の一角。代表の朝山貴生氏が株式の約54%を保有している。グループで、企業が資金調達のため独自の仮想通貨を発行する「新規仮想通貨公開(ICO)」の支援事業も手掛ける。