【経済ななめ読み】世界を揺るがす米中貿易摩擦

10月27日、米インディアナ州で開かれた農業団体の集会で演説するトランプ米大統領(ロイター)
10月27日、米インディアナ州で開かれた農業団体の集会で演説するトランプ米大統領(ロイター)【拡大】

 米中貿易摩擦の影響が世界の金融市場を揺るがしている。世界経済の牽引(けんいん)役である米国経済だが、貿易摩擦の余波で企業業績が頭打ちとなり、減速懸念が出てきたためだ。

 米商務省が10月26日発表した7~9月期の経済成長率は、年率換算で3.5%。トランプ政権が目標とする年間3%成長も視野に入る好調さだが、それにもかかわらず、同日の米国株は大きく下落。貿易摩擦の長期化による悪影響や企業業績の伸び悩みを懸念する投資家の姿が浮かび上がっている。

 米国発株安の影響が最も大きく出ているのは東京市場だ。日経平均株価は10月2日、2万4270円の年初来高値をつけた。ところが、それからわずか1カ月足らずで3000円超も下落した。日本の景気は輸出に左右される側面が大きいためとみられる。

 こうした中、トランプ米大統領は同27日、中西部インディアナ州で開かれた農業団体の集会で演説し、日本が市場を開放しない場合、「日本車に20%の関税をかける」と警告した。貿易摩擦は日本にとって、もう対岸の火事ではなくなってきた。11月上~中旬の大手企業の9月中間決算は要注目だ。(章)