NY原油、終値60ドル割り込む 9カ月ぶり、米大統領の減産牽制受け

 週明け12日のニューヨーク原油先物相場は11営業日続落し、指標の米国産標準油種(WTI)の12月渡しは前週末比0.26ドル安の1バレル=59.93ドルで取引を終了し、終値としては2月13日以来約9カ月ぶりに大台の60ドルを割った。

 主要産油国が原油の減産を協議する見込みとなった半面、トランプ米大統領が原油価格上昇につながる減産を牽制(けんせい)したのに加え、12日の米国株急落も売り材料視された。

 WTIは前週末9日に一時1バレル=60ドルを下回る場面があった。10月3日にはイラン産原油の供給減懸念などを背景に一時1バレル=76.90ドルとほぼ4年ぶりの高値をつけたが、その後は下落基調が鮮明になっている。

 石油輸出国機構(OPEC)加盟国や非加盟国が12月のOPEC定時総会などで来年の原油減産について協議する見込みになったと伝わり、買いが先行する場面もみられた。だが、トランプ氏がツイッターに「サウジアラビアとOPECが原油の減産をしなければいいのだが。供給を踏まえれば原油価格はもっと安くあるべきだ」と投稿し、減産の動きを牽制。さらに、12日の米ダウ工業株30種平均が600ドル超の急落となり投資家心理が冷え込んだことも下落につながった。

 今後のWTIの見通しについて、ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「減産を模索する主要産油国とそれを牽制するトランプ氏の動向をにらみつつ、OPEC総会に向けてもみ合う展開になるのではないか」と話した。