綜合建物サービス、カンボジアに高度ビル管理のサービス提供 新会社設立へ

建築ブームが続く首都プノンペンの町並み
建築ブームが続く首都プノンペンの町並み【拡大】

  • 綜合建物サービスの大野操会長

 茨城県取手市に本社を置くビル総合管理会社「綜合建物サービス」が年内にも、カンボジアに空調設備管理や省エネ技術移転などを担う新会社「ソーケン・エンジニアリング・カンボジア」を設立する。

 綜合建物サービスは2011年に現地法人「ソーケン・カンボジア」(大野洋平社長)を設立し、同国に進出して8年目を迎える。今回の新会社設立で、建設ブームに沸く首都プノンペンを中心にビルの清掃管理のみならず、高度な設備管理サービスの提供を目指す。

 ◆生き残るため海外へ

 カンボジアは安定した経済成長が続いており、なかでもプノンペンの建築ブームは長く同国の経済発展を牽引(けんいん)している。現在も街中のあちこちで、商業ビルやコンドミニアムが建築中だ。

 一方で課題になっているのは、完成したビルの清掃や設備管理などのメンテナンスだ。建築ブームが訪れる数年前から建物管理のニーズに目をつけた大野操・綜合建物サービス会長(66)は、まだ高層ビルが数棟しかなかったプノンペンに進出。初めは工業団地の日系企業などを中心に事業を拡大していった。

 「最初の3年間は思い通りにはいかなかった」と大野会長は言う。現在のような建築ブームはまだ起きておらず、また、カンボジアの社員たちに日本式の清掃業務を教えるのはひと苦労した。具体的な清掃スキルだけでなく、メンテナンスの意義や作業時のマナーも日本式で教えていたからだ。人材が育ち始めたのは3年後ぐらいという。

 「常に撤退が頭にあった」という大野会長だったが、「この国は必ず成長する。いい人材を育てて地道に事業を続ければ必ずうまくいく」と思い続けた。その思いを支えたのは、日本で抱いていた危機感だ。東京五輪の20年開催が決まる前のことで、日本では新築の建物も増加する見込みはなく、人材確保も難しくなっていた。「生き残るためには海外に出なくては」と考えた。

 設立当時、日本人1人、カンボジア人1人だった現地法人は、現在では従業員270人を抱えるまでに成長を遂げた。顧客は二百数十社を数え、イオンモールの1号店と2号店をはじめプノンペンのビル清掃管理業務の多くを担っている。現地法人のマネージングディレクター、石川勝義氏によると、今後は社会貢献として、病院の清掃など同社の技術を生かした活動もしたいと考えているという。

 ◆日本での現場研修

 こうした成長の一方で、8年目の今年、同社は新しい展開をにらんで動き始めた。

 まず、日本でのカンボジア人研修を開始した。カンボジア人社員の中から8人を選抜し、日本へ送り出し、7カ月から1年にわたる実地研修に参加させている。8人はそれぞれ、太陽光パネルのメンテナンス、病院の清掃業務、消防設備の管理、ホテルの管理業務などに就き、現場で学んでいる。研修期間が終わればカンボジアに戻り、日本で習得した技術を他の社員と共有しながらカンボジアで生かしてもらうという仕組みだ。

 8人の年齢は20代から40代までと幅広い。なかには文字を書けない社員もいるが、学歴ではなく、仕事ぶりが評価され、日本派遣の第1期生に選ばれた。石川氏は「みんな、日本で驚くほどの業務量をこなし、多くのことを吸収しているようで頼もしい。こちらでは既に2期生の選抜を始めている。毎年送り出したい」と語った。

 また同社は、新会社を設立することで、省エネ技術や消防設備のメンテナンスなど、付加価値の高い維持管理技術をカンボジアに導入し、現地法人の競争力を高めることを目指す。大野会長は自身の経験から、今後、同業者が多く出てきてサービス価格競争になることは間違いないとみる。「コスト競争ではカンボジアの会社には勝てないだろう。付加価値の高い新しいサービスの提供で勝ち抜いていきたい」と力を込めた。(カンボジア月刊邦字誌「プノン」編集長 木村文)