ウズベク、シルクロードの要衝復活 強権統治終わり物流や観光で注目

ウズベキスタンのオアシス都市、サマルカンドのシャーヒ・ジンダ廟群=9月24日(共同)
ウズベキスタンのオアシス都市、サマルカンドのシャーヒ・ジンダ廟群=9月24日(共同)【拡大】

 シルクロードの要衝として栄えたウズベキスタン。閉鎖的な外交政策が発展の足かせとなってきたが、強権統治を続けた前大統領の死去後、周辺国との関係改善や改革を進め、交通インフラを整備して中国やインドと欧州、ロシアを結ぶ国際物流の中継地を目指す。世界遺産を訪れる観光客も増え、日本企業は「中央アジアで最も勢いがある」と熱視線を送る。

 ◆10年でGDP2倍に

 ユーラシア大陸の中心部に位置し、中央アジア最大の約3200万人の人口を抱える。金や天然ガスなどの資源に恵まれ、近年は国内総生産(GDP)もプラス成長を続けている。

 「中央アジアは主要な国際市場を結ぶ地理的、戦略的要所だ。10年でGDPが2倍になる可能性がある」。9月に首都タシケントで開かれた国際会議で、アリポフ首相は各国の企業幹部らに力強く訴えた。外務省の広報担当者は「目指すはシルクロード交易の復活だ」と意気込む。

 ソ連時代末期から君臨したカリモフ前大統領が死去した2016年以降、後継者のミルジヨエフ大統領は方針を大きく転換し、急ピッチで「開国」を推進する。昨年は隣国タジキスタンとの定期便が25年ぶりに復活。対外貿易省によると、昨年の中央アジア諸国との貿易額は前年比20%増の約30億ドル(約3380億円)に達した。

 特に注力するのが、大陸を貫く鉄道や高速道路など「経済回廊」との連携だ。対外貿易省によると、中国からキルギス経由で欧州に向かう鉄道網計画や、インド、イランからロシアに通ずる南北輸送回廊を念頭に置く。

 ◆30日以内はビザ不要

 観光客誘致のため規制緩和も進める。今年2月には日本や韓国など7カ国の観光客については、30日以内の滞在であれば査証(ビザ)が不要になった。オアシス都市のサマルカンドや世界遺産のブハラなどを訪れる外国人は増加傾向にある。

 キルギス、タジキスタンにまたがりイスラム過激派が活動する東部フェルガナ盆地や、国境を接するアフガニスタンの安定化など治安面での課題はあるが、外交官は「情勢安定化に向けた努力を続ける」と強調する。

 日本人駐在員も「経済成長や市場規模を考えると中央アジアで最も魅力を感じる」と話すが、数百の企業が進出する中国や韓国に比べ、日本企業の進出は20社程度にとどまっているのが現状だ。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)のタシケント事務所の下社学所長は「外貨購入の自由化などビジネス環境は改善しているが、日本での周知が不十分。ソ連時代の中央集権的な国というイメージをまだ引きずっている」と指摘した。(タシケント 共同)