安倍晋三首相(64)は来年10月の消費税率引き上げに伴う経済対策に関し、中小型店でキャッシュレス決済を行った場合のポイント還元を増税相当分の2%を大きく上回る5%とする意向を示した。自民党の岸田文雄政調会長(61)が党の提言を申し入れた際の表明で「ポスト安倍」を目指す岸田氏に花をもたせたといえる。一方、5%還元にはバラマキ批判があり、岸田氏は財政再建路線からの転換と受け止められる懸念もある。次期首相の座を狙ううえでは吉と出るか凶と出るか…。
「ポイント還元について、十分な還元率を確保すべきだとの党の提言を行ったが、それを受けて首相から、2020年(東京)五輪までの9カ月、還元率5%で検討したいという言葉があった」
11月22日、官邸で増税対策に関する党の提言を首相に提出した後、岸田氏は記者団にこうアピールした。説明に驚いた複数のメディアが即座に速報を打ち、同日は「5%」の話題でもりきりとなった
ポイント還元は、買い物客が中小の小売店でクレジットカードやQRコードなどで決済した場合、後で使えるポイントを還元するものだ。当初は2%程度とみられていたが、首相の意向を受け、政府は5%と破格の還元率で行う方向で準備を進める。増税前後の駆け込み需要や反動減を減らし、景気や消費が低迷するのを防ぐ狙いがある。