首相が花をもたせた?
増税時の経済対策をめぐっては、連立を組む公明党が先行する形で、購入額を上回る買い物ができる「プレミアム付き商品券」などを提案し、政府が採用する方向になっていた。それだけに、自民党も存在感をアピールする必要があった。
党政調関係者は「首相は(同月26日の)政府の会議で5%還元を表明しても良かったのに、岸田氏の申し入れの際にあえていってくれた」と歓迎する。
自民党の増税対策は、岸田氏が本部長を務める経済成長戦略本部がまとめた。同本部は岸田氏が政調改革の一環として、総裁直属機関の日本経済再生本部を廃止して立ち上げたものだ。党として経済政策や成長戦略などを検討し、政府に提言する役割がある。
首相は平成24年の第2次政権発足以来、経済成長と財政再建の両立を目指し、消費税率引き上げには慎重な立場をとってきた。実際、増税延期を2度決断した。国民も依然として増税には反対が多い。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の11月の合同世論調査でも、消費税率10%への引き上げについて、反対が49・8%で賛成(47・8%)を上回った。