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トランプ氏、アキレス腱は家族 民主党「電撃戦」の標的に (1/3ページ)

 トランプ米大統領の家族が、11月の中間選挙で下院の過半数を奪還した野党・民主党が仕掛ける「電撃戦」の標的になりそうだ。サウジアラビア人記者殺害事件、ロシアの米大統領選干渉疑惑、ブーメランのようにトランプファミリーを直撃した私用メール問題などネタは尽きず、家族思いのトランプ氏も神経をとがらせている。いずれも政権運営に影響するアキレス腱といえる。

 「できるだけたくさん売却を」

 トランプ氏が米国在住だったサウジ人記者ジャマル・カショギ氏の殺害に同国の実力者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(33)が関与したとされる疑惑を棚上げした理由の一つに、同国への1100億ドル(約12兆5千億円)相当の武器輸出合意がある。

 「できるだけたくさん売却する必要がある」

 トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問(37)は2017年5月のトランプ氏によるサウジへの初外遊に先立ち、国家安全保障会議(NSC)の会議でこう述べて、同国への武器売却を増やすよう求めたという。ABCテレビが伝えた。

 国務省や国防総省は最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」売却を中心とした約150億ドルの合意を予定していたが、皇太子との調整役を務めていたクシュナー氏が増額を主張し、輸送機やヘリコプターなどの売却計画が加えられた。

 巨額の武器輸出は米国経済を潤すが、記者殺害事件を度外視していいのか-。民主党はこうした観点から政権を追及する構えだ。下院外交委員会のデビッド・シシリン議員(民主)は「クシュナー氏が武器輸出合意を膨らませた理由を知りたい。議会は真相を究明し、サウジへの制裁強化に取り組む必要がある」とする声明を出した。

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