韓国 半導体依存リスク 利益の3分の1DRAM、価格下落予想も

韓国の京畿道南部にある平沢(ピョンテク)で建設中のサムスン電子の半導体工場=10月27日(ブルームバーグ)
韓国の京畿道南部にある平沢(ピョンテク)で建設中のサムスン電子の半導体工場=10月27日(ブルームバーグ)【拡大】

 韓国経済は半導体への過度な依存から脱却できず、先行きへの懸念が高まっている。半導体メモリーの価格が来年下落するとの見通しが半導体メーカーの株価の重しになっているほか、国内半導体産業の強化を目指す中国の規制当局が米韓半導体メーカーに対する独占禁止法絡みの調査を実施したことも不透明さを増している。

輸出全体の2割

 韓国の輸出全体に占める半導体の割合は21%強、国内最大のサムスン電子の利益の3分の2は半導体事業だ。同社は民間最大の雇用主であり、売上高は韓国の国内総生産(GDP)の15%に相当する。株式市場も同社株価の影響を受けやすい。

 民間シンクタンクの韓国経済研究院(KERI)のリー・サングホウ氏は屋台骨の「半導体輸出が崩れれば、韓国経済は激しい痛みを被る」とコメントした。同氏はこうした事態が必ず起こるとは言わないまでも、半導体輸出への依存が高まるのに伴い、これに替わる成長エンジンが喫緊に必要になるとみる。

 造船業は依然として、韓国の重要な産業であるものの、中国との競争上、相対的な衰退は明らかだ。自動車も主要産業ながら、生産のかなりの部分が海外に向かっており、現代自動車などソウルに拠点を置く自動車メーカーは、為替変動で競争力が低下している。石油化学産業は原油価格による打撃を受け、鉄鋼会社は米国向け輸出の制限を受け入れざるを得ない状況だ。

 新たな稼ぎ頭を探す中、ここ数年は化粧品やバイオ製薬が浮上したものの、状況を変えるには至っていない。一方で、サムスンとSKハイニックスは、集積回路(IC)の製造に用いるシリコンウエハーを年に数百万枚生産可能な施設におよそ600億ドル(約6兆8000億円)を投資すると発表した。

 CLSAのアナリスト、ポール・チョイ氏は、韓国企業の利益のほぼ3分の1がDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)によるものだと指摘。英市場調査企業IHSマークイットの半導体業界予測者らは、DRAMやNAND型フラッシュメモリーの売り上げの伸びがピークに達したとみている。

中国の動向懸念

 韓国の半導体メモリーの大部分が中国市場で組み立てられる電子機器に用いられ、米市場に出荷されていることを考えると、米中貿易摩擦は新たな大きな懸念材料だ。

 また中長期的には、中国政府による自国の半導体メーカーへの積極投資と産業政策「中国製造2025」の推進が、韓国製半導体に戦略的リスクをもたらす。こうしたリスクについては、かねて中国が生産施設向けの精密機械の購入を増やしていることからもうかがえる。

 1日に発表された韓国の11月の貿易統計で、輸出は前年同月比4.5%増とブルームバーグのエコノミスト調査の予想(同6.6%増)を下回った。産業通商資源部の発表によると、中国の需要が軟化する中、コンピューター用の半導体メモリーの売り上げ減が響いたという。(ブルームバーグ Jungah Lee、Sam Kim)