税制大綱「消費増税対策、複雑になりすぎた」 森信茂樹・東京財団政策研究所研究主幹

森信茂樹・東京財団政策研究所研究主幹
森信茂樹・東京財団政策研究所研究主幹【拡大】

 平成31年度の与党税制改正大綱では所得税にも手を付けておらず、消費税率の引き上げへの対応に全精力を注いだような改正だ。過去の消費税増税では政権が倒れたり、デフレ脱却が遅れたりしてきた。10%以上に引き上げる必要があることを考えれば、今回、成功体験をつくることは重要で理解できるが、その結果、制度が複雑になりすぎた。これでは経済が混乱しかねない。

 特に消費税は軽減税率で8%と10%が存在するのに加え、キャッシュレス決済でポイント還元も2%か5%が付く。これだけ複雑になれば、消費税を納める事業者の反発は必至だ。先日、住宅ローン減税で税金を控除しすぎていた問題が発覚したが、同じような間違いが生じかねない。

 議論すべきだったのは金融所得課税の引き上げだ。アベノミクスで株価が上がる中、株を所有する人は限られており金融所得は一部に偏っている。税率を20%から25%に引き上げれば軽減税率の財源としても使えた。