タイ観光、高級路線化進む 観光客4000万人突破の見通し、自然環境に打撃も (1/2ページ)

タイの三輪タクシー、トゥクトゥク(ATJ提供)(ブルームバーグ)
タイの三輪タクシー、トゥクトゥク(ATJ提供)(ブルームバーグ)【拡大】

  • カペラ・バンコクの完成イメージ(同ホテル提供)(ブルームバーグ)
  • バンコクのフリーマーケット(ATJ提供)(ブルームバーグ)
  • マヤ湾のあるタイ・ピピ島(リモート・ランズ提供)(ブルームバーグ)

 約1年前、タイ・バンコクにあるレストラン、ナームで素晴らしい食事をとったときの代金はわずか60ドル(約6700円)だった。見事な天井画と美しい庭のある五つ星ホテル、アナンタラ・サイアムは朝食ブッフェ付きで1泊150ドルしかしなかった。バンコクで買った中で一番高価だった土産物のゾウの置物ですら、ニューヨークのマクドナルドでの食事代より安かった。

 だが、国連世界観光機関(UNWTO)が発表した最新データから、タイは他のアジア諸国を観光収入で上回っていることが分かった。

 昨年、タイを訪れた観光客による国際観光収入は570億ドルに上った。これはマカオ(360億ドル)や日本(340億ドル)、香港(330億ドル)、中国本土(330億ドル)の2倍近くに相当する。世界的に見てもタイを上回ったのはフランス(610億ドル)、スペイン(680億ドル)、そして世界最多の米国(2110億ドル)のみだった。

来年4000万人突破へ

 タイの観光収入が多い理由は、訪れる観光客の数にある。2019年に訪タイ観光客は4000万人を突破する見通しで、これはタイの人口の半数を超える。

 オーダーメードの旅行を扱うアジア・トランスパシフィック・ジャーニーズ(ATJ)のレベッカ・マッツァロ氏は「タイには全ての人の期待に応える何かがある。ヴィラでくつろげるプライベートアイランドから、わずか数ドルで買えるおいしい屋台フードまで、他ではめずらしい多様性がありバラエティーに富んでいる。多くの人々がタイに行き、お金を使うのは驚くことではない」と分析する。

 UNWTOのデータからは、旅行者1人当たりの消費額を確認することは難しい。だが、タイで続々と進む開発プロジェクトを見ると、伸びている可能性は高いと言える。

 チャオプラヤ川沿いに来春開業する五つ星ホテル「カペラ・バンコク」のゼネラルマネジャー、ジョン・ブランコ氏は「これまでもバンコクやタイ全体は高級感のある旅行先だと考えられていたが、その傾向がはっきりと表れてきている」と話す。同ホテルは101室のスイートを備える予定だ。

宿泊・飲食施設が洗練

 米クレジットカード大手のマスターカードが発表した「2018年度世界渡航先ランキング」でバンコクは渡航者数1位となり、3年連続で首位を記録した。同調査はカードの取引データではなく、公的な資料を基にしているという。旅行者の1日当たりの平均消費額はバンコクで173ドル。ドバイの537ドルやシンガポールの286ドルには及ばないものの、今年は14%の成長が予測されている。

 来年にはバンコクで観光客の消費を促すような施設が増える見通しだ。フォーシーズンズやローズウッド、マンダリンオリエンタル、ウォルドーフ・アストリアといった高級リゾートが加わる。また、大型複合施設「アイコンサイアム」も開業。同施設には一流シェフ、アラン・デュカス氏のレストランや高島屋などが軒を連ねる。カペラ・バンコクには仏マントンのレストラン「ミラズール」でミシュラン二つ星を獲得したマウロ・コラグレコ氏のレストランが入る。ブランコ氏は、バンコクでは「高級路線の施設が増えている」と語る。

自然環境に打撃も