【専欄】民営企業に未来はあるか 拓殖大学名誉教授・藤村幸義

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 中国経済のスローダウンや激しさを増す米中貿易戦争の影響をまともに受けているのは国有企業ではなく、どうやら民営企業のようだ。このところ企業の資金繰り悪化が伝えられているが、その多くは民営企業である。さすがの習近平国家主席もめずらしく民営企業のてこ入れに動き出した。だが、国有企業優先の政策の下で、民営企業に未来はあるのだろうか。

 昨年の数字を見ても、民営企業はいまや中国経済に欠かせない存在だ。国内総生産(GDP)の60%以上を占め、輸出も半分以上は民営企業である。さらに都市部の就職者数では、80%以上を民営企業が占めている。

 ところがこれだけのシェアを占めていても、依然としてさまざまな問題を抱えている。企業規模は小さいし、銀行からの融資も国有企業中心で、民営企業にはなかなか貸してくれない。民営企業の寿命は2~3年と極端に短いところが多い。

 米中貿易戦争では、華為技術(ファーウェイ)などの民営企業が攻撃の標的にされ、経営悪化が目立ってくる。中国人民銀行(中央銀行)の発表によると、今年に入ってデフォルト(債務不履行)に陥った企業が増えているが、その大半は民営企業である。

 こうした状況を見て、習氏は11月初めに民営企業を集めて座談会を行い、中国の経済・社会発展において、民営企業など非公有制経済の地位と役割は変わっていないと強調した。あまりに民営企業を痛め過ぎては、経済成長、とりわけ雇用確保に大きな影響が出かねない。そのあたりを懸念したのであろうか。

 だが習氏の国有企業重視の姿勢に大きな変化はない。国有企業改革の柱の一つである「混合所有制改革」では、勢いのよい民営企業から資金を出させ、傾きかけた国有企業のてこ入れを図っている。民営企業は資金を出しても、経営権を握れるわけではない。さらに一歩進んで、最近では国有企業が民営企業を買収する動きも活発になってきている。

 この12月18日で中国が改革開放政策をスタートさせてからちょうど40年が経過した。いまでも市場経済化の旗印は降ろしていないものの、実態をみると、「国進民退」の傾向が強まっている。民営企業の自主性を尊重して、今後どこまで発展させるのか、それによって市場経済化のたどり着く先も決まってくる。だが、今の政策が続く限り、民営企業にとって、いばらの道は避けられそうにない。