海外情勢

旅行ローン、ミレニアルに人気 インド、フィンテック企業が救世主

 インドは旅行を目的にローンを借り入れるミレニアル世代(1980年代~2000年代初頭生まれ)の若者が増えている。こうした若者の救世主となっているのが、金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」の新興企業だ。個人向けの旅行ローンは、フィンテック企業のローンポートフォリオの12~20%程度を占めるまでに成長し、自動車ローンと同じくらいメジャーになりつつある。現地紙タイムズ・オブ・インディアなどが報じた。

 インターネットを通じて借り手と貸し手を結び付けるピア・ツー・ピア(P2P)会社フィンジーの幹部、アビナンダン・サンガム氏によれば、旅行ローンの利用者は28~35歳の会社員が多いという。彼らは平均25万~50万ルピー(約38万~76万円)を借り入れて外国旅行に出かける。このため、フィンジーは旅行比較サイトと提携し、以前はタイやスリランカ、インド西部ゴアが主要な旅行先だった若者に対し、欧州やオーストラリア、南アフリカなどの旅行商品の販売を支援している。

 旅行ローンはホテルのグレードや買い物の予算など、旅行の質の向上にも役立てられている。また、週末に短期旅行に出かけるための資金の借り入れ需要も拡大している。アーリーサラリーの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のアクシャイ・メフロトラ氏は「3連休の週末は利用希望者がホームページに殺到する。

 目的地は近場が多い。たとえばムンバイ市民はゴアやロナバラなどを訪れる」と述べた。同社の主要顧客は25~26歳が中心だという。

 P2P会社フェアセントの共同創業者、ラジャト・ガンジー氏によれば、結婚式前後に出発するハネムーン以外の旅行が若者の間でトレンドになっている。メフロトラ氏は「結婚式前の独身旅行の目的地はタイなどが人気だ。彼らは友人らとビーチでのんびりして最高のインスタグラム用写真を撮影する。そのための出費はいとわない」と指摘した。同社のローンポートフォリオのうち、ウエディング関連の旅行が8~10%程度、レジャー旅行が7%台後半を占めている。

 借り手のクレジットスコアを重視する従来の銀行とは異なり、これらの新興企業はクレジットスコア以外のオンライン上で入手可能なさまざまな条件で審査を行う。これらの企業はクレジットスコアの低い顧客も借り入れ能力は高いと評価する。フィンジーのサンガム氏は「当社では顧客を130を超えるパラメーターで評価している」と説明した。(ニューデリー支局)

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