【回顧2018】地に落ちた財務省の威信 不祥事続発、再生険しく

辞任を表明し、記者の質問に答える財務省の福田淳一事務次官(当時)=4月、東京・霞が関
辞任を表明し、記者の質問に答える財務省の福田淳一事務次官(当時)=4月、東京・霞が関【拡大】

 2018年は財務省の職員にとって、忘れたい一年となった。国家予算を一手に握り、かつては「最強官庁」と呼ばれた組織の威信は、公文書改竄(かいざん)と官僚トップのセクハラという前代未聞の不祥事で地に落ちた。

 文書改竄が発覚したのは3月。学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地を払い下げた経緯について、国会での追及が続いていた。

 この土地に開校予定の小学校の名誉校長は安倍昭恵首相夫人が就いており、売却額は当初から8割超も値引き-。不自然な経緯が表面化した17年2月以降に理財局幹部らは、売却交渉の経過を記した計14の決裁文書から昭恵氏に関する記述を消すなどしていた。

 文書の書き換えに反対した近畿財務局の職員が自殺するという取り返しの付かない悲劇も今年3月に起きた。財務省は、改竄は当時の佐川宣寿理財局長(後に国税庁長官)が「方向性を決定づけた」と認定したが、動機は未解明のままだ。値引きも改竄も、政権への「忖度(そんたく)」との見方が今もくすぶる。

 追い打ちとなったのが福田淳一事務次官(当時)によるセクハラ問題だ。女性記者を夜、バーに呼び出し、わいせつな発言を繰り返していたと週刊新潮が報道。福田氏は事実関係を否定したが、本人とされる声の録音も公表され「職責を果たすことが困難だ」として4月24日、辞任した。

 麻生太郎財務相は佐川氏の辞任後も「極めて優秀な行政官」とかばい続け、福田氏については「セクハラ罪という罪はない」などと発言。国民感覚とのずれも露呈した。

 財務省は「組織風土の抜本的な改革」を掲げる。ただ森友への値引き自体に問題はないとの見解は変えず、福田氏への同情論も省内に根強い。

 19年は財務省が悲願とする消費税増税を控える。その増税対策で19年度予算は膨れ上がり、財政と国民からの信頼を立て直す道はともに険しい。