2人目の妊娠はタイで 中国人客に照準 一人っ子政策廃止で巨大市場

 タイの首都バンコクの豪華なスパで、ウェイ・シャン・ユー氏はタイが最近、潜在顧客として狙いを定める旅行者層を引き込みたいと考えている。それは、少しだけ豪華な環境で子供を授かりたいと望む夫婦だ。

 ユー氏は「第2のハネムーン」休暇と銘打ち、自然妊娠して健康な子供を出産するチャンスを高めるよう設計された落ち着いた環境で、健康医療を提供している。シンガポール人の同氏は、2019年は3日間のプログラムに3万元(約47万4000円)を支払う夫婦を何千組も受け入れたい意向で、その約半数は中国人カップルになると見込んでいる。

 タイの妊娠・出産医療分野は「一人っ子政策」から解放された中国人夫婦を新たな顧客と見定める。同国は既に、手頃な価格で提供する質の高い医療と太陽の光が降り注ぐビーチリゾートに近接した立地のおかげで、医療ツーリズムの分野でアジア一の渡航先となっている。

 観光業はタイ経済の5分の1を支える一大産業で、同国を訪れる観光客の大半を占める中国人は新分野でも明白なターゲットだ。

 一人っ子政策を廃止した中国は、高齢化の速度を落とすため、夫婦が持つ子供の数の制限を全廃することを検討している。ユー氏が狙うのは、質の高い医療や不妊治療に関する情報の不足に耐え続けてきた中国の女性たちだ。

 昨年10月にバンコクで不妊治療センターを開いたトンブリ・ヘルスケア・グループのタナティップ・サプラディット最高経営責任者(CEO)代理は「医療機関の大半はこの巨大市場を獲得しようと急いでいる。手頃な料金と良質なサービス、美しい自然を兼ね備えたタイは、中国人夫婦にとって確実に主要な渡航先となるだろう」と述べた。

 タイの大手私立病院グループ、バンコク・ドゥシット・メディカル・サービシーズの株価は18年、医療ツーリズムの貢献もあり約20%上昇。時価総額は新興国市場で業界最大となった。売り上げの約3分の1は外国人患者によるもので、同年上半期に前年同期から10%増加した。中国人患者の伸びは同30%だった。

 だが、ユー氏や彼のライバルたちは難しい問題に直面している。歴史的に見て、国が豊かになり教育が普及すれば、政策の善しあしを問わず出生率の低下を阻止するのはほぼ不可能だ。

 夫婦により多くの子供を持つよう奨励する中国のキャンペーンは「彼らに多くのストレスを与えるだろう。周囲の人や社会全体が何らかの結果を期待するからだ。簡単にはいかない」とユー氏は述べた。(ブルームバーグ Michelle Jamrisko)