「SDGs」普及へ社会人研修制度 環境省、地方の取り組み視察

地域の課題やSDGsについて議論する研修参加者たち=2018年12月15日、広島県安芸太田町
地域の課題やSDGsについて議論する研修参加者たち=2018年12月15日、広島県安芸太田町【拡大】

 国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の考え方を広げようと、環境省は公募した20~30代の若手社会人を対象とする研修制度を立ち上げた。環境保護と産業振興の両立に取り組む地方の現場を視察し、研修後もフェイスブックなどで参加者同士が連絡を取り合う仕組みをつくることで、SDGs普及を後押しする。

 研修は昨年12月に始まり、電力会社や金融機関などの計30人が3グループに分かれて北海道と広島、愛媛各県を1泊2日で視察。今年1月下旬には東京都内に全員が集まり、現地で気づいたことなどをめぐって意見を交わす。既に日程を終えた北海道余市町はリンゴ農家や漁業関係者、食料やエネルギーの地産地消を進めるNPOを訪問。広島県安芸太田町では景勝地・三段峡を歩き、地域の自然や食文化に触れる体験型観光「エコツーリズム」をテーマに現地の関係者も交えて議論した。

 広島の視察に参加した古賀麻莉さん(32)は大手電機メーカーで営業を担当。「川の上流で人口が減れば、森が守れず都市部の水に影響すると実感した」と話す。他の参加者からも「SDGsを社内に根付かせるため若手の勉強会を開く」「ビジネスを通じて視察先に貢献したい」などの声が上がっているという。

 環境省の担当者は「これから社会の中核を担う世代にSDGsの考え方を学んでほしい」と狙いを説明。他の地域にも協力を呼び掛け、地域資源の活用やNPOとの連携などに関する研修を実施していく考えだ。

【用語解説】持続可能な開発目標(SDGs)

 2015年の国連サミットが採択した30年までの国際目標。貧困や飢餓の撲滅、気候変動対策など17分野にわたる。15年を期限として途上国支援に取り組んだ「ミレニアム開発目標」の後継となる。環境保護と開発の両立、格差拡大など途上国以外にも広がる課題に対応するため、SDGsは先進国を含む全ての国を対象とした。日本政府も推進本部を設置し、再生可能エネルギー導入や循環型社会の構築、農山漁村の活性化などを優先課題とした。