南アフリカの牛肥育場、中国などアジア向け輸出急増

 世界最大の牛肥育場が、中国をはじめとするアジア市場での需要急増により、南アフリカ産牛肉の輸出を増やしている。

 南アフリカ共和国の農業界は、グレープフルーツやアボカドからマカデミアナッツまで、よりニッチな製品の輸出拡大を進めている。輸出の重点は徐々に、トウモロコシなどのもうけの少ない大量生産品から高価な製品へと移りつつある。そうした中で、同国ヨハネスブルクにある肥育場、カラン・ビーフは象徴的な存在だ。

 毎年50万頭の牛を食肉処理場に送る同社は、単一施設としては世界最大の肥育場だという。農家から生後約8カ月で同社施設にやって来た牛たちは糖蜜などの餌を与えられ、4カ月以内に体重を約420キログラムに倍増させる。同施設は南ア牛肉輸出の70%、国内市場の30%を担っている。

 カラン・ビーフのディレクター、マシュー・カラン氏によれば、同社は2000年代初めから中東に牛肉を輸出してきた。17年は中国への輸出を開始したことから出荷量が倍増。同年、11月までの輸出は中国向けが434万キログラム、中東向けが468万キログラムだった。

 「中国はより多くの牛肉を求めており、当社に圧力をかけている。私たちは国内市場の分を奪われたくないので、中国への輸出量を制限している。将来的に輸出規模を拡大する可能性はあるが、当社施設の稼働率は最大限に達している」と同氏は述べた。中国の牛肉輸入は18年、記録的なペースで急増した。

 食肉生産者機構のゲルハルト・シュッテ最高経営責任者(CEO)は、南アの牛肉産業は概して、国内外の需要に応えるため生産量を増やすよう圧力を受けていると話す。考え得る対策の一つは、国内で家畜類の約40%を飼育する小規模農家の生産能力を拡大することだが、彼らは輸出市場で要求される競争力を欠く。

 カラン家は昨年10月、アフリカ最大のファンドマネジャー、パブリック・インベストメントとペロ・アグリカルチュラル・ベンチャーズに自社株の90%を52億ランド(約406億円)で売却することに同意した。

 カラン氏によれば、同家は今後も事業を継続。全株を60億ランドで買い取り、全生産量を中国に輸出したいという中国人投資家からの申し出は断った。「受け継いだものは確実に残さなければならない。南アを売り払った男になるのはごめんだ」と同氏は述べた。(ブルームバーグ Felix Njini、Antony Sguazzin)