【経済インサイド】高くついた妊婦加算凍結 社会保障改革で医師会に大きな借りか (1/3ページ)

折衝に臨む根本匠厚生労働相。右は麻生太郎財務相=17日午後、財務省(萩原悠久人撮影)
折衝に臨む根本匠厚生労働相。右は麻生太郎財務相=17日午後、財務省(萩原悠久人撮影)【拡大】

  • 平成31年度予算案について記者会見する日本医師会の横倉義武会長(左から3人目)=12月19日午後、東京・本駒込の日本医師会館(桑原雄尚撮影)
  • 政府与党政策懇談会であいさつする安倍首相(右端)=19日午前、首相官邸
  • 妊婦加算の見直しを求めた自民党の小泉進次郎厚生労働部会長(左から2人目)=13日午前、東京・永田町の党本部

 「今回のようなことは名称を含めて誤解を招いた。そういうことがないような(診療報酬の)点数設定をしてほしい」-。平成31年度予算案の閣議決定を目前に控えた昨年12月19日夕、東京・本駒込の日本医師会(日医)本部で記者会見した横倉義武会長は、妊婦が医療機関を外来で受診した際に請求される「妊婦加算」が凍結されたことに苦言を呈し、今後の見直しに注文を付けた。この日の午前、中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)で妊婦加算の凍結が了承されたが、日医としては渋々受け入れた格好だった。

 “小泉発言”で社会問題化

 妊婦加算は、妊婦の外来の受診に当たり、胎児への影響を考慮した薬を処方するなど「丁寧な診療への評価」を目的として、今年4月の診療報酬改定で導入された。問診で「妊娠中」と答えるなどした女性が対象で、妊婦が外来を受診すると、初診で750円、再診で380円が上乗せされて医療機関に支払われる。妊婦の窓口負担(原則3割)は初診で225円、再診で114円増える。深夜や休日、診療時間外はさらに上乗せされる。通常の妊婦健診では加算されない。

 ところが、周知不足で制度自体を知らない女性も少なくなく、9月ごろからインターネットを中心に「妊婦税だ」「少子化対策に逆行する」などと不満を訴える声が続出。運用面でも、投薬を伴わないコンタクトレンズの処方といった妊娠と直接関係のない場合や、診察後の会計の際に妊娠していることが分かって加算されたケースなどに批判が集中した。

「このまま放置するわけにはいかない」