日本の原発輸出政策、行き詰まり 中ロの台頭にも押され

 日立の英原発建設計画の中断で、日本勢による海外の原発建設計画は事実上ゼロとなり、日本の原発輸出政策は行き詰まりをみせている。東京電力福島第1原発事故以降、原発は安全対策の強化などで世界的に総事業費が膨らみ、民間企業の投資対象としてのハードルが高くなった。実績を積み重ねる中国やロシアの勢いにも押されている。

 国内では新規制基準のもとで再稼働した原発が現状で9基にとどまる上、新設や増設はめどが立たない。先が見えない中、政府は日本のメーカーや電力会社が培ってきた技術やノウハウを海外展開すれば成長戦略の目玉になると期待し、原発輸出を推進してきた。

 だが、福島第1原発事故を受けて原発の安全対策にかかる費用が大きく膨らむなど、原発は今や採算を取りづらいビジネスになりつつある。大手電力会社幹部は「事業者として現実を追求すれば、なかなか前に進みづらいというのはあるのだろう」との見方を示す。

 世界の原発ビジネスで近年、中国やロシアが台頭しているのも日本の原発輸出にとっては逆風だ。中露はそれぞれ自国内で原発の建設や運転の実績を蓄積しており、中国では昨年、米企業が開発した最新鋭の加圧水型軽水炉(PWR)「AP-1000」を採用した原発が営業運転を開始。新興国市場だけでなく、英国など先進国への売り込みでも存在感を高めている。

 日本エネルギー経済研究所の村上朋子・原子力グループマネージャーは「中国は原発輸出を、巨大経済圏構想『一帯一路』の重要な構成要素として組み込んでいる。ロシアはマーケティングが上手で、相手国のニーズを巧みにすくい上げている」と指摘する。日本の原発関係者は「日本としては、先を行く技術開発や、より高い品質で勝負していくしかない」と話した。(森田晶宏)