このままだとEUは必ず行き詰まる ポピュリストに塩を送る“メルクロン”の罪とは (1/3ページ)

2018年12月にはフランス各地で大規模な反政府デモが発生。親EU派のマクロン大統領の足元が揺らいでいる(写真=AFP/時事通信フォト)
2018年12月にはフランス各地で大規模な反政府デモが発生。親EU派のマクロン大統領の足元が揺らいでいる(写真=AFP/時事通信フォト)【拡大】

 欧州で民族主義(ポピュリズム)が勢いを増している。彼らは欧州連合(EU)に懐疑的で、「移民を排除せよ」と訴える。ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領は、こうした動きに反発しているが、「メルクロン」は不人気で、むしろ民族主義に傾く人を増やしてしまっている。2019年5月には5年に一度の欧州議会選挙が行われる。EUはどうなるのか--。

 ポピュリズム政党の議席増は必至の情勢

 2019年も欧州連合(EU)では、中欧の大国ポーランドの総選挙をはじめ各国で多くの国政選挙や地方選挙が予定されているが、それ以上に注目されるのが5月23日から26日にかけて実施される欧州議会選だ。この議会選で反EUを唱える民族主義(ポピュリズム)政党出身者の議席がどれだけ増加するかが、今後のEUの運営の在り方を大きく左右するためである。

 欧州議会とはEUの立法機関であり、加盟国からその人口比に按分されて選出された700余名の議員(任期は5年)によって構成される。欧州議会は、政治スタンスが近い議員が政治会派を構成し、議会運営を行うというユニークな仕組みが採られている。議院内閣制は採用していないため、英国や日本と違い欧州議会からEUの首相が誕生することはない。

 慣例にのっとれば、最多会派の代表が、EUの政策執行機関である欧州委員会の次期の委員長に就任することになる。現職のユンケル委員長(ルクセンブルク出身)は10月末に退任するが、現在、後継候補の最右翼とされているのが、長らく欧州議会の運営の中心を担ってきた中道右派「欧州人民党グループ(EPP)」の代表を務めるウェーバー氏(ドイツ出身)である。

 言い換えれば、親EUのEPPが今回の欧州議会選でも最多会派を維持するという展開が、大方の識者が想定するメインシナリオになっている。ただ欧州議会の議員は比例代表の直接選挙で選出されるため、ポピュリズム政党出身者に賛同する有権者の民意も反映されやすい。反EUの機運がやまない中で、彼らの議席が増加する事態は避けられない。

 実際に前回14年の欧州議会選では、景気低迷の長期化や難民問題の深刻化を受けてポピュリズム政党出身者の議席が急増した。具体的にはイタリアの「五つ星運動」などから成る会派「自由と直接民主主義の欧州」は42議席を、フランスの「国民同盟」などが属する会派「平和と自由のための同盟」は35議席をそれぞれ獲得した。

ポピュリズム政党の訴え