【中国を読む】設備投資と輸出、景気押し下げ さらなる下振れリスクは (3/3ページ)

中国人民銀行は景気対策として1月15日と25日に預金準備率を引き下げる予定(ブルームバーグ)
中国人民銀行は景気対策として1月15日と25日に預金準備率を引き下げる予定(ブルームバーグ)【拡大】

 次に、政府は1月から年末までの時限措置として、人員リストラを中止・規模縮小した企業に対して、社会保障費を還付すると表明した。このほか、政府は輸出時の付加価値税の還付を行うことで、輸出企業を支援するとみられる。

 このように、米中貿易摩擦が景気の重しとなるものの、安定成長を重視する中国政府の政策運営のもと、景気の急減速は回避されると見込まれる。

 もちろん、米中間の摩擦が著しく激化すれば、政府の対応能力を超えてしまう可能性もある。3月に米国が2000億ドル(約21兆円)分の中国製品に対する関税率を10%から25%に引き上げ、その後中国からの全輸入品に対して制裁関税を課す可能性は否定できない。

 また、住宅価格が上昇する中、不動産に関する政策は引き締め方向に転じつつある。セカンドハウスの購入禁止などの需要抑制策が、各地で相次ぎ導入されている。政策のかじ取りを誤ると住宅価格と景気が想定以上に落ち込むリスクもある。

【プロフィル】関辰一

 せき・しんいち 2006年早大大学院経済学研究科修士課程修了。08年日本総合研究所入社、15年から調査部副主任研究員。拓殖大学博士(国際開発)。専門分野は中国経済。著書に「中国経済成長の罠」。37歳。中国上海出身。