中国 貿易摩擦の痛み、今後本格化


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 中国の2018年の対米貿易は輸出入ともにプラスを維持した。貿易摩擦をめぐる関税率の引き上げや制裁対象拡大をにらみ、駆け込み需要が発生したためとの見方が強いが、今後、摩擦の痛みが本格的に出てきそうだ。3月の交渉期限に向け、米国は貿易協議で中国にさらなる譲歩を求めるとみられる。

 制裁関税を嫌い企業が中国外に生産拠点を移す動きは確実に進んでおり、中国の沿海部では失業問題などが顕在化する。12月単月は輸出入とも想定外のマイナスを記録。貿易摩擦による景気減速感も日増しに強まっており、世界貿易をさらに縮小させる悪循環に陥る恐れも強まってきた。これ以上の悪影響を避けようと中国は米国に譲歩の姿勢を示し始めている。

 対米貿易のプラス維持の背景には、米国が幅広い商品を中国からの輸入に頼り、すぐに調達先を切り替えることが難しいという事情がある。

 米企業が早めに中国の商品を調達しようとの動きが広がった一方で、中国企業は中国政府の意向に従い購入制限に素早く動いたため、輸入減の方が先に数字に表れて黒字拡大につながったもようだ。(北京 共同)