北京にあるテンセントのビル(ブルームバーグ)【拡大】
中国当局がゲーム審査を再開したとの報道を受け、先月21日の香港株式市場で騰訊(テンセント・ホールディングス)の株価が上昇した。
投資家が熱くなるのはもっともだ。オンラインゲームはテンセント総収入の大きな部分を占め、ゲーム審査凍結が同社ゲーム部門の売上高低迷を招いていた。
だがトレーダーは落ち着きを取り戻すベきだ。ゲームの新作を投入できることは間違いなくプラスだ。しかし、強固な収入と高い利益率を謳歌(おうか)した日々がテンセントに戻ることを意味するわけではない。
消費者は先を読んでいる。ゲームはエンターテインメントの一つの形にすぎない。1年半前と比べても、現在はゲームのみならずさまざまな形で日々の生活を楽しむための娯楽がある。
今人気の中心となっているのはYYや陌陌科技(モモ)、美拍、斗魚のライブストリーミングだ。こうしたプラットフォームの多くは今後、姿を消したり合併したりするだろう。ブームは下火になる。だが今のところライブストリーミングの人気は続いており、動画を見ている間、人々はゲームをしない。
録画コンテンツも伸びている。愛奇芸と優酷土豆が繰り広げる視聴者獲得競争のあおりを受けるのがゲーム業界だ。デスクトップからモバイルへのシフトもゲーム会社の収益性には痛手だ。
こうした四面楚歌(そか)に対応するため、ゲーム各社は先細る売上高の確保に向けマーケティングに資金を投じる必要が生じ、それが収益の重しにもなる。
ゲームの新作投入再開に向けた道は恐らく開かれつつある。だが大きなダメージは残された。(ブルームバーグ Tim Culpan)
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