【中国を読む】減速感が強まる中国経済 「世界の工場」左右する米中摩擦 (1/2ページ)

 □第一生命経済研究所・西●徹

 米中貿易摩擦をめぐっては、昨年12月の米中首脳会談を経て、トランプ米政権が追加制裁の発動を猶予するなど「一時休戦」状態となっている。その後の米中協議では、改善の兆しをうかがわせる動きもみられる。仮にこうした動きが大きく好転すれば、中国経済、ひいては世界経済にもプラスに寄与すると期待される。ただ、米中間の懸案事項となっている「中国の構造問題」については、早々に良い解決策が見いだせる可能性は低い。他方、足元では中国企業に米中貿易摩擦の激化が着実に悪影響を与えている動きもみられ、減速感が強まっている中国経済の先行きに対する不透明感が強まることも懸念される。

低迷示すPMI

 企業マインドを図る指標としては、一般的にPMI(購買担当者指数)が知られるが、中国にはPMIが2つ存在する。一つは政府機関の国家統計局と物流購買連合会が作成、発表するPMI、もう一つは英調査会社IHS Markitが発表する財新PMIである(財新は、中国の経済系メディアで同指標のスポンサー)。

 おのおののPMIには製造業とサービス業(非製造業)の2種類がある。近年の中国の高い経済成長は、中国が「世界の工場」として製造業が牽引(けんいん)役となって実現したところが大きい。

 中国の製造業は世界的な存在感を有している上、ここ数年は中国国内での生産コスト上昇に伴い、アジア新興国が中国を中心とするサプライチェーンに組み込まれ、世界経済との連動性が高い。よって、製造業PMIの動きは中国のみならず、世界経済の動向を占う上でも注目されている。

 こうしたなか、12月の製造業PMIは、政府機関発表が49.4、財新も49.7とともに好不況の分かれ目となる50を下回るなど、景気減速を意識せざるを得ない内容となった。

 ともに、内・外需双方の鈍化に伴い生産に下押し圧力が掛かり、先行きも一段の下振れを示唆する内容となるなど、製造業の企業マインドは急速に冷え込んでいる。昨年秋以降の原油相場の調整は、企業にとってコスト低下につながるなど好材料もみられるが、双方で雇用情勢を示す指数は50を下回るなど、先行きの減産懸念を理由に雇用調整圧力がくすぶる。

 その上、財新製造業PMIでは完成品在庫の積み上がりを示唆する動きもみられ、先行きの内・外需が一段と鈍化すれば、在庫調整に向けた減産圧力が強まる可能性も懸念される。こうした動きをみると、製造業の企業を取り巻く環境は急速に悪化していることが分かる。

政府はてこ入れ