米中「知財」で進展なし 次官級通商協議 不満表明に終始

7日、北京市内のホテルから米中次官級の通商協議が行われる会場に向かう米通商代表部(USTR)のゲリッシュ次席代表(中央)(AP)
7日、北京市内のホテルから米中次官級の通商協議が行われる会場に向かう米通商代表部(USTR)のゲリッシュ次席代表(中央)(AP)【拡大】

 米中両国の当局者が今月上旬に開催した通商協議で、米国が中国に強く是正を求めている知的財産権に関する問題でほとんど進展が見られなかったことが、21日までに分かった。トランプ米大統領は「通商交渉は大きく進展している」と主張するが、両国の主張は依然、平行線をたどっている。知財権をめぐる問題は米中通商協議の成否を占う最大のポイントとみられているだけに、予断を許さない状況だ。

是正計画に懐疑的

 3月1日の交渉期限をにらみ、両国の通商担当者は今月上旬に北京で3日間の次官級通商協議に臨んだ。関係者によると、中国の知財権侵害や外国企業に技術移転を強制しているとされる問題が議題の大きな割合を占め、交渉は建設的ではなく不満の表明に終始したという。

 参加者の1人によると、ゲリッシュ米通商代表部(USTR)次席代表は中国製品約2500億ドル(約27兆4025億円)を対象とした関税を正当化するために用いた報告書の引用に多くの時間を費やした。中国当局者は不正行為を否定し、米国側に証拠を求めたという。

 知財権など構造的問題に関する協議で進展がなかったことは、ライトハイザーUSTR代表も先週の議員との会合の席で確認したと議会関係者は話している。

 中国の習近平国家主席が対米通商交渉を統括する劉鶴副首相を1月30、31日にワシントンに派遣する準備を整える中、知財権をめぐる行き詰まりは米中通商対立の焦点になっている。また、トランプ大統領が対中関税で得た交渉力を中国の大きな政策変更につなげられるのかという疑念が生じてくる。関係者によると、中国側は今月の次官級協議で対米貿易不均衡の6カ年是正計画を提示していた。米国からのモノの輸入を年間計1兆ドル超引き上げ、2024年までに対米貿易黒字をゼロにすることを目指すものだという。

 米国側の交渉代表らはこの計画に懐疑的な態度を示し、中国にさらなる歩み寄りを要求。今後2年間での対米貿易黒字の解消を求めたという。ただ、通商問題に詳しいエコノミストらは、中国の対米貿易黒字が続く背景には米国の中国製品に対する需要が大きいとして、貿易不均衡をなくすことは難しいと指摘する。

糸口はモノの種類

 オバマ前政権で国際経済分析担当の財務副次官補を務めた、米シンクタンク「外交問題評議会」のブラッド・セッツァー氏は、「中国が米製品を大量に購入しても米国の農家や企業が中国側の需要増加にどれほど迅速に対応できるかは分からない。対中貿易黒字の削減につながらない公算が大きい」との見方を示した。

 ブルームバーグ・エコノミクスのチーフエコノミスト、トム・オーリック氏は、「ブラジル産大豆を減らして米国産大豆を増やすように中国が対米通商問題に対処するために他国から米国に輸入先を乗り換えたとしても、他の国々に貿易不均衡を転嫁することになる」と指摘。さらに、「中国が購入を増やそうと申し出ているモノの種類の方が貿易不均衡是正の目標額以上に重要だ。ここ数年、中国は貿易交渉の糸口として、国家安全保障に関わる技術の購入を増やす提案をしてきた。米国側は常に、戦略的コストから受け入れられずにいる」とみている。(ブルームバーグ Shawn Donnan、Jenny Leonard)