賃金デジタル払い解禁を検討 国家戦略特区でキャッシュレス化推進

さまざまな電子マネーを扱うモバイル決済システム=大阪市北区の「阪急メンズ大阪」(一部画像処理しています)
さまざまな電子マネーを扱うモバイル決済システム=大阪市北区の「阪急メンズ大阪」(一部画像処理しています)【拡大】

  • デジタルマネーによる賃金支払いのイメージ

 政府が国家戦略特区で、電子マネーを中心とする「デジタルマネー」を使った賃金の支払いを解禁する検討を進めていることが22日、分かった。現金や、銀行など金融機関口座への振り込みに限定する現行規制を緩和することでキャッシュレス化を推進する狙い。デジタルマネーの事業者が経営破綻した場合に支給が滞る恐れが課題となっており、労働者保護のための対応策を関係団体と協議する方針だ。

 ◆支給遅滞防止が課題

 労働基準法は企業などの雇用主が現金で賃金を払うことを原則とし、厚生労働省令で銀行振り込みなどを認めている。政府は先月の特区諮問会議でデジタルマネーの解禁を「早急に検討する事項」に掲げ、有識者議員は今春をめどに結論を出すよう求めた。

 対象となるマネーの種類は未定だが、ICカードやスマートフォンにためる一般的な電子マネーのほか、プリペイドカードやスマホの決済アプリへの入金なども候補になる。金融庁に登録した「資金移動業者」の決済サービスを基本的な対象とし、経営の健全性などの要件を定める方向だ。

 ◆外国人労働者増受け

 背景にはデジタル決済の普及に加え、新たな在留資格の創設により外国人労働者が増えることがある。日本での保有資産や取引実績の少ない外国人は銀行口座の開設が難しく、東京都などはデジタル化の需要が多いとみて解禁を要望していた。諮問会議関係者は特区での試行を経て、全国展開する流れを想定する。

 資金移動業者は預かり資産を全て保全する義務がある半面、当局の監督は銀行より緩い。内閣府によると、破綻時は利用者が資産を取り戻すまで3カ月程度かかり、保険会社が補償するとしても銀行口座を持たない人にどうお金を渡すかが課題となる。政府は労働・経済団体、IT業界と対応を話し合った上で制度整備に着手する。

【用語解説】デジタルマネー

 硬貨や紙幣とは違い、電子情報で支払いに充てられるお金の総称。Suica(スイカ)など、ICカードやスマートフォンにチャージできる電子マネーが代表的。LINE(ライン)のようなインターネット事業者が手掛けるマネーや、ビットコインなどの仮想通貨も含む。自社商品で現物支給するような企業が出ないよう、労働基準法は賃金の全額を通貨とし、月1回以上支払う原則を規定。相場変動の大きい仮想通貨での賃金支払いは引き続き認められない公算が大きい。