「これは苦しい戦いだ」 世界最悪の大気汚染に立ち向かうインド (1/3ページ)

インド北部ハリヤナ州で開かれた「ハッピーシーダー」の研修会(ブルームバーグ)
インド北部ハリヤナ州で開かれた「ハッピーシーダー」の研修会(ブルームバーグ)【拡大】

 停車を命じられた旧式スクーターが黒い煙を吐き出す傍らで、ニューデリー市の交通当局者が運転者に100ルピー(約154円)の罰金を科している。人口2000万人のこの都市はインドが取り組む世界最悪の大気汚染との戦いの最前線だが、これがその進捗(しんちょく)状況だ。

 スモッグに覆われたインドの首都は、年推定110万人が命を落とす深刻な煙害を防止しようとする同国の取り組みの象徴的存在だ。政府はこの対策に向けた支出拡大を約束し、農家の野焼き禁止など既存の環境法の執行改善を担うチームを追加配備した。しかし、インドにおける圧倒的な規模の大気汚染が進捗を困難にしている。

 政府には実行の意志

 「これは苦しい戦いだ」と、デリー政府の電力・交通当局トップを務めるバーシャ・ジョシ氏は語る。

 ジョシ氏のチームが2018年10月半ばからの1カ月間、目視できる汚染物質の排出を理由に罰金を科した件数は1万6000件に上った。前年同期は6000件以下だった。また、最新版の汚染物質許可証を所有していないとして、前年の倍に上る8000人の運転者を検挙した。同氏はデリー郊外のバダープール石炭火力発電所の閉鎖も進めた。

 環境活動家は、インドのモディ首相は大気汚染対策に本腰を入れるべきだと主張しているが、あまり目立った動きのない同国大気汚染対策の主導権を握るのはジョシ氏のような大物官僚たちだ。

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