島嶼国インドネシア郵便局の悲鳴 EC拡大で輸送量増も低額な配送料 (1/2ページ)

PTポス・インドネシアのジャカルタ支店で小包を載せたカートを押す従業員(ブルームバーグ)
PTポス・インドネシアのジャカルタ支店で小包を載せたカートを押す従業員(ブルームバーグ)【拡大】

 米国の郵便事業が問題を抱えているという話は聞いたことがあるだろう。では、政府でさえ正確な数を把握できないほど多くの島々から成る諸島国家、インドネシアで手紙を配達することを想像してみてほしい。

 世界中の郵便局は昨今、手紙を送る人が極めて少なくなったという事実を甘んじて受け入れている。だが、インドネシアでは、そうした郵便事業を助けるはずのオンラインショッピング人気が、同事業を苦しめている。

 元メリルリンチの投資銀行家で、2015年に国営郵便会社PTポス・インドネシアの社長に就任したジラルシィ・ハワユ・セティジョノ氏によれば、規制当局が郵便料金をあまりにも低く設定しているからだ。

 「料金は当社の商業原価を下回る。何度も見直しを求めてきた」と同氏は話す。

EC拡大で輸送量増

 島々が広範囲に広がるインドネシアの地形から、オンラインショッピングは消費者に恩恵をもたらした。だが、海や山を越えて商品を配達しなければならない人たちには負担がかかる。米コンサルティング会社マッキンゼーは、同国の電子商取引(EC)市場は17年の80億ドル(約8773億6000万円)から22年には650億ドル規模に成長するとみている。そして、現在の6倍に当たる1日440万個の商品を配達し、重労働の大半を担うことになるのは郵便局だ。

 米国では、郵政公社を「配達坊や」のように扱い低額な配送料しか払っていないとして、トランプ大統領がインターネット通販大手のアマゾン・コムを批判したが、小包配送は実際のところ郵便局にとっては明るい材料だ。18年第2四半期だけで6億5600万ドルに上る米郵政公社の赤字の実際の原因は、配達手紙の減少と福利厚生・退職給付コストの上昇にある。

 ポス・インドネシアの財政はまだそれほど悪くないが、小包配送の負担が四半期ごとに状況を悪化させる可能性があるとセティジョノ氏は考えている。収益は17年に18%減少した。272年の歴史を誇る郵便事業の基盤をより強固にするため、同氏は改革に着手。それは物流部門を別会社にし、デジタル決済を扱う新事業を立ち上げ、初となる1兆ルピア(約77億円)の社債発行にも及んだ。

 だが、インドネシアの地形だけは、誰にも変えることはできない。同国には多数の島があり、政府は17年、正式な数を確認するため国勢調査に乗り出した。前回の集計では、ニューヨークからアラスカまでに匹敵する範囲に散らばる島々の数は、1万8000を超えていた。

 こうした地理的条件や未整備の道路、橋のおかげで、政府データによれば物流業は国内総生産(GDP)の23%を占めるに至る。4800カ所に上る郵便事業の支店の半数以上が商業的に存続不能な場所にあるのも、同様の理由からだ。

低すぎる料金設定