日産英工場の町に激震 SUV生産白紙 「合意なき離脱」リスク表面化 (1/2ページ)

日産自動車の英サンダーランド工場で働く男性(ブルームバーグ)
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 日産自動車が生産拠点を構える英中部の町、サンダーランド市に激震が走っている。日産が英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる先行き不透明感からスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」次期モデルの英国での生産計画を撤回したためだ。日産は同モデルをサンダーランド工場で生産する計画だっただけに、人口約30万人の町は合意なき離脱に陥るリスクの高まりに翻弄されている。

政府助成取り消しも

 サンダーランドは英自動車産業の復興を物語る象徴的存在だ。サッチャー政権下の1986年、鳴り物入りで生産を開始。英国に生産拠点を持つ自動車メーカーや部品会社などで組織する英自動車工業会(SMMT)によると、日産の2018年の生産台数は英国全体の3割に相当する44万2000台にのぼり、首位のジャガー・ランドローバーに肉薄した。

 自動化と近代的な職場環境を誇る同工場は、16年に英国の自動車生産台数を過去最高に押し上げる原動力となった。

 しかし、同年に実施した国民投票でEU離脱が決定、サンダーランド市も離脱派が61%を得票した。ディーゼル車を敬遠する政策で需要が圧迫される中で、EU離脱をめぐる懸念で事業戦略の見直しを迫られていた。

 サンダーランド工場は小型SUV「キャシュカイ」と小型SUV「ジューク」、電気自動車(EV)「リーフ」、高級車ブランド「インフィニティ」などを生産しているが、昨年の生産台数は前年比11%減少、英国全体の不振を反映した。とりわけディーゼル車の落ち込みが激しかった。

 サンダーランド工場は7000人以上を雇用し、仕入れ先企業2万8000人の職を支える。メイ政権はかつて、日産による英国投資を保護するという異例の約束をしたことから、裏取引に応じたとの批判を招いていた。

 クラーク民間企業・エネルギー・産業戦略相は4日、助成の前提条件の変更に応じて日産は助成を再申請する必要があるとの見解を示した。また、同相は同日の英議会下院で、自動車業界全般で「EU離脱条件とEUとの将来の関係をめぐる問題に決着が付けば、投資を行う用意がある。合意なき離脱は将来に甚大な損害を及ぼす」と警鐘を鳴らした。

経営陣と労組が会談