
パキスタンで進められている一帯一路関連施設建設の現場。同国は中国からの融資を断った=昨年7月、パキスタン南西部グワダル(ブルームバーグ)【拡大】
中国の習近平国家主席肝煎りの巨大経済圏構想「一帯一路」に転機が訪れている。新興経済国に巨額マネーを貸し付けて勢力圏を広げようとする戦略への警戒感の高まりを背景に、被支援国の間に開発計画の凍結や縮小の動きが相次いでいる。専門家は、中国が一帯一路を推進するためには、手法の抜本的な見直しが必要だと指摘している。
マレーシアのマハティール政権は先月26日、政府系投資会社ワン・マレーシア開発公社(1MDB)をめぐる汚職疑惑で退陣したナジブ前首相が進めた「東海岸鉄道(ECRL)」計画を凍結すると発表した。
810億リンギット(約2兆1764億円)に上る事業費が「財政能力を上回る」ことを理由に挙げた。マハティール首相は昨年の訪中時、資金援助やインフラ整備をてこに影響力拡大を図る中国の政策を「新植民地主義」と呼び批判していた。ECRLは一帯一路の目玉プロジェクトだっただけに中国にとっては大きな痛手だ。
巨額融資に警戒感
シンガポールのシンクタンク「シンガポール国際問題研究所(SIIA)」の上級研究員、胡逸山氏は「インフラをてこにした開発手法への懸念やマレーシアが抱える多額の負債、1MDBをめぐる不正疑惑などの要素が今回の決定に重くのしかかった。中国はインフラ開発で経済成長を推進するという自国モデルを輸出するのが難しいことを学びつつある」と指摘した。
パキスタンも620億ドル(約6兆8000億円)規模の一帯一路関連プロジェクト「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」で中国からの融資削減を決定した。資金負担が理由という。
ミャンマーは、中国のCITICグループがチャオピュー経済特区で75億ドルをかけて建設予定の深水港建設計画の規模を縮小する方針を発表。政府投資委員会(MIC)のタウン・トゥン委員長は「返済できないほどの資金は借りない」と述べ、差し迫った必要がないインフラの工事は行わないと表明した。