ウナギ履歴確認仕組み作り 水産庁、密漁稚魚の取引防止本腰

ウナギの稚魚シラスウナギ(第11管区海上保安本部提供)
ウナギの稚魚シラスウナギ(第11管区海上保安本部提供)【拡大】

  • シラスウナギ取引のイメージ
  • ニホンウナギ稚魚の国内採捕量

 水産庁が、ニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」の不透明な採捕の解消を目指し、取引履歴を確認できる仕組みの整備を検討している。密漁が横行しているとの疑念が広がっているのに対応する。ウナギの資源管理は乱獲などによる資源減少を背景に厳しい目が向けられており、強化に乗り出す。手始めに具体化に向け2019年度に実態調査を実施する。

 ウナギは通常、採捕された稚魚を養殖池に入れ、大きく育てた後出荷する。稚魚はつまようじほどの大きさで、夜の河川に入って網ですくうなどして捕まえる。稚魚の採捕者は全国で2万人以上に上り、一般の人が許可を得て副業として携わるケースも多い。

 水産庁によると、18年漁期の国内での採捕量は養殖池に入った量から8.9トンと算出されるのに対し、採捕許可を出した都府県への報告量は5.3トンだった。2つの差である3.6トン分については出所不明となっている。

 水産庁は出所不明の稚魚の多くは面倒、良い採捕場所を秘密にしたいなどの理由で許可を得ている人が報告しない分だとみているが、許可のない密漁が広がっているとの見方もされている。

 調査ではモデル地区を数カ所設け、関係者からの聞き取りなどで実態を把握する。出所不明の稚魚の取引を防ぐ履歴確認の仕組みを検討し、21年度には対策の試験的な実施につなげたい考えだ。

 ウナギ稚魚の国内採捕量は1960年代は100トンを超える水準で推移したがその後減少。直近ではピーク時の10分の1以下に落ち込んでいる。価格も以前と比べて高値傾向が続いている。

 水産庁はナマコの密漁を防ぐため取った場所の明示を輸出時に求める法的な漁獲証明制度の導入を検討しており、ウナギも法的な証明制度の対象になる可能性がある。

【用語解説】ニホンウナギの資源管理

 絶滅危惧種のニホンウナギの資源を持続的に利用するための枠組み。採捕された稚魚のシラスウナギは最終的に養殖業者の池に入れられるため、池に入る数量の規制が柱になっている。日本と中国、韓国、台湾が2014年、養殖池に入れる稚魚の量を2割減らす規制に合意。採捕報告の徹底など取引の透明化も求められている。