インド婚活4億人市場 ミレニアル層の人口比最高 出会い系アプリ混戦

スマートフォンの画面上に映し出されたベターハーフが運営する出会い系アプリ(ブルームバーグ)
スマートフォンの画面上に映し出されたベターハーフが運営する出会い系アプリ(ブルームバーグ)【拡大】

 世界中のIT企業がインドの“婚活市場”に熱い視線を注いでいる。AI(人工知能)を活用して交流サイト「フェイスブック」や短文投稿サイト「ツイッター」上の投稿を分析し、相性を評価する出会い系アプリは世界中にあふれているが、インドの利用者は世界でも群を抜いて多いためだ。インドの実業家や結婚相談サイト、世界で利用されている出会い系アプリなどが4億人を超える2000年以降に成人したミレニアル世代が暮らす巨大マーケットを取り込もうと虎視眈々(こしたんたん)と狙っている。

アルゴ分析の革新

 人口に占める若年層の割合が世界で最も高いインドで、結婚は今でも多くの人たちのゴールとなっている。MBA(経営学修士)を持つ同国のパワン・グプタ氏が設立したベターハーフが運営する出会い系アプリ「ベターハーフ・ドット・エーアイ」は、結婚を目指してデートアプリや結婚サイトを利用し、結果が出なかった自身の4年に及ぶ経験から、エンジニアのラフール・ナムデブ氏とともに立ち上げた。ベターハーフは新規登録者の倫理観や人柄などが分かるような質問をした上で、質問で得た情報を、結婚に至った人たちのデータやオープンソース(公開情報)のデータと統合して相性を分析するのが特徴だ。

 同国では家族か仲人が知人の中から相応な人を紹介し、占星術で相性を確認するという古い伝統がある。このため、IT業界内でも「インド文化はAIマッチングアプリを受け入れる準備ができているのか」との声も根強い。コンピューター心理学に精通する米スタンフォード大学経営大学院のミカエル・コジンスキー助教授は「人は通常、自分自身と知り合いの経験からしか学べない。何十億人もの経験から学ぶアルゴリズムの方が友人や家族よりも個人についてよく知っているといえる。アルゴリズムで婚活は劇的に変わる」と力を込める。

米最大サイト参入

 新規参入する企業は後を絶たない。インドの実業家、クマール・アクシャイ氏も出会い系アプリ「トゥルーマッチ」を運営する。クマール氏は「出会い系アプリは結婚に結びつかないという概念を崩すことが目標。家族が紹介する仲人と同じくらい信用できるアプリを創りたい」と意気込む。

 既存の出会い系サイトも負けていない。「バーラトマトリモニー」など数多くの結婚相談サイトを運営し、370万人のアクティブユーザー数を誇る大手出会い系アプリ運営会社、マトリモニー・ドット・コムは、今年中にAIを活用した自動応答システム「チャットボット」の運用を開始する計画で新規参入組を迎え撃つ。

 インド婚活市場に関心を寄せるのは国内勢だけではない。米国最大の出会い系サイト「OKキューピッド」や世界で約5000万人の会員数を抱える出会い系アプリ「バンブル(Bumble)」などもインド市場に注目しており、インドの言語や文化に合わせたサービスを提供する。

 もっとも、インドでは結婚詐欺が深刻な問題になっている。米調査会社ガートナーのアナリストはこうした問題について、「AIの分析、認知機能で問題が対処されれば、婚活でのアプリの利用価値は非常に高まるだろう」とみている。インド社会に根付いた伝統的な結婚相手探しの風景が大きく変わりそうだ。(ブルームバーグ Saritha Rai)