未来投資会議 個人データ独占の脅威を問題視

 未来投資会議で、安倍晋三首相が巨大IT企業の規制を具体的に検討するよう指示したのは、圧倒的に優位な立場を利用して個人データを独占する巨大IT企業の脅威を、政府としても看過できなくなっているからだ。巨大IT企業をめぐるトラブルは欧州連合(EU)でも続発しており、経済成長を阻害しない形でのルールづくりが急務となっている。

 巨大IT企業が提供する検索サービスや会員制交流サイト(SNS)、インターネット通販などは、中小企業や個人事業主にとって新規顧客の開拓や売上金の回収コストの軽減といったメリットがある。その一方で、巨大IT企業側が優越的地位を背景に取引の規約を一方的に変更してきたり、高額の利用料や手数料を求めたりすることも少なくない。

 巨大IT企業の支配的地位の乱用はEUでも問題視され、米ネット通販大手アマゾン・コムが取引先に競合他社と契約条件を同等にする「最恵国待遇条項」を要求したことに対し欧州委員会が調査に乗り出し、アマゾンは条項取りやめを確約。米SNS大手フェイスブックも、SNS企業買収でデータ独占が進んだとして、EUから制裁金を課されたことがある。

 EUでは現在、巨大IT企業の説明・情報開示義務などを定めた「透明性・公正性確保法案」が議会で審査されており、日本も早急に足並みをそろえる必要がありそうだ。(桑原雄尚)

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 ■デジタル市場ルールに関する未来投資会議の検討項目

 (1)内閣官房に専門組織設置

  ・競争状況の評価や法整備の調査、市場活性化の提言、国際ルールづくりへの参画などを担当

  ・法学、経済学、情報工学などの専門家を集め、事務局は公正取引委員会や経済産業省、総務省の職員らで構成

 (2)透明性・公正性確保のための取引ルール整備

  ・データの価値評価を含む企業統合審査のためのガイドラインや新法を整備

  ・デジタル市場特有の取引慣行の透明性・公平性確保のためのガイドラインや新法を整備

 (3)データの移転・開放の促進

  ・金融や医療といった分野ごとにデータ移転・開放の具体的な制度設計を実施