【論風】揺れ動く世界の政治 国際協調体制の再建急務 (1/3ページ)

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 2019年の世界情勢は、予測困難な時代となっている。米国では、マティス国防長官が辞任し、シャナハン副長官がその代行となったが、米国の安全保障政策は、どちらに向かうであろうか。米国議会ではメキシコからの移民流入を阻止するための壁の建設予算をめぐって与野党が対立したまま越年した。トランプ大統領は米軍のシリア、アフガニスタンからの撤退を決め、安全保障の空白が懸念されている。米国がロシアとの中距離弾道ミサイル協定(INF)を破棄するとするが、核兵器の増強に向かうのであろうか。(地球産業文化研究所顧問・福川伸次)

 欧州では、ウクライナ問題以来ロシアと西欧諸国との政治対立が続いている。フランスでは昨年12月まで7週連続して、週末に大規模なデモが繰り広げられ、ドイツでは11年にわたり政権を担ってきたメルケル首相が退陣に追い込まれた。英国では、ブレグジットをめぐって世論が分裂し、3月までに欧州連合(EU)との間で合意ができるか予断を許さない。

 米中貿易戦争は深刻である。17年の米国の貿易赤字は7961億ドル(約88兆円)に及び、うち対中赤字は3752億ドルで47%を占める。米国はこれを20年までに2000億ドルにまで低下させようとして、関税引き上げなどの措置を講じようとしている。私は、米中貿易戦争は1980年代の日貿易摩擦と異なり単なる通商上の対立にとどまらず高度技術力の優位性、軍事面の覇権保持にあると見る。それだけにその妥協は難しい。

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