【山本隆三の快刀乱麻】水素で燃料輸出維持図る豪州 日本は輸出国との連携を (3/4ページ)

豪州南東部ニューサウスウェールズ州にある石炭輸出港のニューキャッスル港(ブルームバーグ)
豪州南東部ニューサウスウェールズ州にある石炭輸出港のニューキャッスル港(ブルームバーグ)【拡大】

  • フューエルセル・エナジーの製造施設=米コネティカット州(ブルームバーグ)
  • レスター・ブラウン氏

 豪州は石炭の生産量で、中国、インド、米国に次ぐ世界第4位だが、輸出量は低品位の褐炭の輸出が多いインドネシアに次いで2位、輸出額では世界一だ。しかし、石炭輸出の今後の見通しは明るくない。気候変動問題への対応のため、先進国を中心に石炭火力発電への風当たりが強くなり、世界一の石炭消費国・輸入国の中国も大気汚染問題解決のため石炭火力を削減する動きをみせている。豪州の石炭輸出は17年がピークで、今後は減少傾向になるとの見方も同国内で出ている。

 石炭への逆風が強まる中、豪州政府が力を入れているのが水素の製造と輸出だ。国内に豊富に賦存する褐炭から水素を取り出すか、再生エネ電力で水を電気分解し水素を製造する構想だ。ビクトリア州を中心に賦存する褐炭(豪州では通常、ブラウン・コールと呼ばれるが、他国ではリグナイトと呼ばれる)は、大量の水分を含むことから熱量当たりの輸送コストが高くなる。しかも、輸送途中で発熱する可能性が高く輸送が難しいため、炭鉱に隣接する発電所で利用されている。

 豪州でも温暖化対策のため、石炭火力から再生エネ、天然ガス火力への切り替えが進んでおり、ビクトリア州でも褐炭火力発電所の閉鎖が続いている。5年前には同州の発電設備量の50%以上、650万キロワットを占めていた褐炭火力は現在、470万キロワットまで減っている。年産6000万トンの褐炭の生産量を維持するための構想の一つが、褐炭からの水素製造だ。

 電源開発(Jパワー)、川崎重工業などの日本の企業連合が、ビクトリア州の褐炭から水素を取り出して液化し、日本に輸出する事業の商業化を進めている。実証事業が19年から始まる予定だ。褐炭に加え、再生エネ電力を利用して水素をつくる構想も進められている。

 豪の利用・輸出構想

 豪州の首都キャンベラにある職業訓練校「キャンベラ・インスティチュート・オブ・テクノロジー(CIT)」が昨年12月、エネルギー会社、Evoenergyと共同で同国初の水素を取り扱う設備を同校敷地内に設置したと発表した。目的は、配管技術を学ぶ学生向けの教育や燃料小売事業者の訓練、既存設備への水素導入時の影響をみることにあるとされている。

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