株価・外為

金、中国の買い攻勢で市場過熱 ドル手放し米を牽制

 米中貿易摩擦が金の市場を揺るがしている。中国は米ドルを手放す一方で金を買い入れ、米国を牽制(けんせい)し続ける。ドルから金への“乗り換え”は他の新興国にも見られる。米中の貿易協議の期限が3月1日に迫る中、「無国籍通貨」としての金の存在感が急上昇している。

 中国人民銀行(中央銀行)の外貨準備に占める金の保有量は1月末時点で1864トンと昨年末から12トン増えた。中国は2016年10月から金買いを控えていたが、米国との対立が激化した昨年12月に再開した。

 ドル建てで取引される金の買い入れはそれ自体がドル売りにつながる。中国は昨年6月以降、米国債も売り続けている。その狙いについて、エコノミストの豊島逸夫氏は「基軸通貨のドルに対する不信任投票だ」と指摘する。

 米国は上下院がねじれ、トランプ政権は財政措置を打ちにくくなった。3月には政府の債務上限を引き上げる必要があるが、与野党が折り合う保証はなく、米国債格下げ懸念がくすぶる。「中国はこれを見越して金買いを通じて米国に揺さぶりをかけている」というのが豊島氏の見立てだ。

 金の国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシルによると、世界の中央銀行など公的機関が昨年購入した金の量は前年比74%増の651.5トンと、ドル・金の兌換(だかん)制度が廃止された1971年以降で最高だった。

 中国の他、ロシア中銀やトルコ中銀でも米国債を手放し金を買う動きが顕著だ。リーマン・ショック以降、ドルの信認が低下したことに加え、新興国の経済不安が続いているためだ。

 貴金属の調査研究を手がける森田アソシエイツの森田隆大代表は「金は国全体の資金の流動性を担保する一番の手段だ。各国中銀は通貨分散の政策目的を達成するまで金を買い続けるのではないか」と話す。

 特に中国の金買いは今後も要注意だ。足元の金の国際価格は1オンス=1300ドル強と昨年5月以来の高水準にあるが、豊島氏は今年の最高値を1425ドルと強気にみている。

 というのも、外準に占める金の比率は欧米諸国の一部が60~70%台に達しているのに対し、中国は2~3%と圧倒的に少ないからだ。豊島氏は「中国はこの先、金保有量を今の3倍近い5000トンまで増やしても不思議ではない。金需給の景色はだいぶ変わるだろう」と語った。(米沢文)

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