【生かせ!知財ビジネス】中国の情報獲得意識をなめるな

ワシントンで行われた米中貿易協議。知財問題は焦点の一つだ=1月30日(ブルームバーグ)
ワシントンで行われた米中貿易協議。知財問題は焦点の一つだ=1月30日(ブルームバーグ)【拡大】

 トランプ米政権は中国に対し、同国内の知財保護是正要求や情報通信産業への圧力を強めている。一方、中国の知財問題を知る内外有識者からは、「1984年の専利法(中国知財法)制定からわずか35年。発展途上の中国がさらに良くなる機会だ」と前向きに捉えようとする声が少なくない。

 今回は有識者や実務担当者から得た、中国企業や中国人の企業機密・知財などに対する情報意識に関する裏話を披瀝(ひれき)しておきたい。中国の情報獲得への意識をなめると、痛い目に遭いそうだからだ。

 まず企業機密問題だが、「対外国企業よりも中国企業同士の情報獲得合戦の方が熾烈(しれつ)だ」(国際弁護士)という。役員室に盗聴器が仕掛けられることもあり、役員会では録音機の持ち込みは日常茶飯事。出席者に他社内通者がいるとの認識は共有されているというから驚きだ。

 韓国企業では携帯電話などを預けないと建物に入れないとか、日本企業でも研究開発部門へは外線電話は通さない場合もある。だが社内の情報漏洩(ろうえい)リスクが高いとの声は聞かれない。中国で取引をするなら、日本企業は甘さを捨て、営業秘密管理体制の徹底が求められる。

 知財侵害では、過去には一般消費財の模倣品製造が主流だったが、近年は高度な技術を要する製品に及んでいる。その手口はすさまじい。日本のある大手機械メーカーは、製造した未発表の最新エンジンが中国内へ運び込まれた瞬間、消える事件が発生。「その後、同種のエンジンが中国企業から中国で発表された」(機械業界関係者)。通常購入され、リバースエンジニアリング(分解分析)で模倣される例は枚挙にいとまがない。対抗策は「買い手先の調査と製品のコア部分を解体検証できない仕組みにしておくことだ」(知財関係者)という。

 研究開発では中国人研究者が帰国時に米国の技術を持ち帰っていると米政府は指摘するが、海外技術を持ち込むのは中国人だけではなく、日本人も少なくない。5、6年前までは特定技術を吸収し、特許出願や製品化を手伝わせて解雇することが多かったが、現在は研究職として中途採用できる人材が好まれる傾向にある。「出身機関は転職者と競業避止義務契約を結び、転職先での動きを追跡、監視することが必要」(知財コンサルタント)と警鐘を鳴らす。(知財情報&戦略システム 中岡浩)