欧州連合(EU)は2030年までに、域内で販売するトラックやバス(新車)の二酸化炭素(CO2)排出量を19年比で30%削減する方針を固めた。全28加盟国で組織する閣僚理事会と欧州議会が基本合意したと両機関が19日発表した。合意内容が両機関で承認されれば正式合意となる。
排出削減は2段階で実施し、25年までに15%削減を目指す。法令として法的拘束力を持つ。
トラックはEU域内全自動車のCO2排出量の27%を占めるが、日米などと違い、排出制限がない。EU欧州委員会は昨年5月、30%削減を提案していた。
合意へ向けて協議を主導した緑の党のエイカウト欧州議員は同日、ツイッターで「温室効果ガスを出さない(水素や電気で走る)トラック製造に向けた刺激となる」と述べた。
大手自動車メーカーを抱えるドイツは野心的目標に難色を示したが折れた形。欧州自動車大手などで組織する欧州自動車工業会は、欧州にはトラック用の充電施設や水素ステーションが皆無だと指摘。こうした状況で「電気や通常の燃料以外で走るトラックを運送業者が急に買い始めるとは想定できない」と訴えた。
EUは乗用車をめぐっても、30年までにCO2排出量を21年目標と比べ、37.5%削減する方針で基本合意している。