英自動車産業、暗闇へ逆戻り ホンダ工場閉鎖、他社も生産調整を本格化

2021年に閉鎖されるホンダのスウィンドン工場(AP)
2021年に閉鎖されるホンダのスウィンドン工場(AP)【拡大】

 英国の自動車産業はほんの数十年前の消滅寸前の状態から欧州屈指の生産台数を誇るまでに回復していたが、ホンダによる英国生産終了の決定が同業界の未来に暗い影を落としている。

 ホンダは世界の自動車産業を取り巻く急激な環境変化に対応するため、スウィンドン工場を2021年に閉鎖する計画で、1989年に始まった現地生産の歴史に幕を閉じ、従業員3500人を削減する。これは英ローバー・グループが経営破綻し6000人余りが職を失った2005年以降、最大の生産・雇用削減となる。

 ホンダの工場閉鎖計画の影響はさらに大きくなる可能性がある。ローバーの破綻は何年も縮小が続いた英国内量産体制の終わりだった半面、ホンダの進出がその穴を埋める形で英自動車生産を押し上げたからだ。16年時点で欧州3位の規模だった英自動車産業は大切な柱を失う。

 日産自動車は今月初め、イングランド北部のサンダーランド工場でのスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」次期モデルの生産計画を撤回した。同工場は英自動車生産全体の3分の1近くを占め、7000人強を雇用している。

 英最大の自動車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)は英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる不確実性や中国販売の鈍化に対応し、英国を中心に世界全体で4500人を削減する。米フォード・モーターは英国でエンジンを製造する2工場の先行きリスクに言及している。仏グループPSA傘下ボクソール部門のエルズミアポート工場の行方も分からない。

 アストン・ビジネス・スクールのデービッド・ベイリー教授によると、ホンダの決定に加え、英国のEU離脱や一部欧州市場でのディーゼル車需要の落ち込みなどに対応するメーカー各社の調整が本格的な危機につながりつつある。同教授は「日本勢が進出してくる前の状況にはまだ戻っていないものの、そうなるリスクはある」と指摘。JLRのキャッスルブロムウィチ工場や、ボクソールのエルズミアポート工場、ウェールズのブリジェンド、ロンドン近郊ダゲナムにあるフォードの工場なども先行きは暗いと付け加えた。(ブルームバーグ Christopher Jasper、Irene Garc●a P★rez)

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