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GAFAの脅威に日本も対抗を 日本総研・高橋氏「事業戦略再構築が重要」

 グーグルやアップルなど頭文字から「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる巨大IT企業は膨大な顧客データを活用して事業を拡大し、小売業、製造業などの「リアル」な分野へも進出して、既存の企業を脅威にさらしている。経済財政諮問会議の前民間議員、高橋進日本総合研究所チェアマン・エメリタスは21日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに答え、GAFAに対抗するため、日本企業はバリューチェーン(事業連鎖)の再構築といった新たな戦略が重要だと訴えた。

 高橋氏が危惧するのは、たとえば、既存の流通ルートの破壊だ。

 「アマゾン・コムの書籍通販を例にとれば、今後、顧客の好みに関するデータなどを踏まえて直接、作家に執筆を頼み、デジタル書籍で販売するといったビジネスを広げる可能性がある」と指摘。書籍の製作から販売まで一気に手がける新しいバリューチェーンが完成すれば、顧客満足度で優位に立ち「既存の出版社や書店は打撃を受ける」と警告する。

 高橋氏は、日本企業も、顧客データを活用して消費者ニーズを引き出す事業展開が必要になるとする。ただ、従来のバリューチェーンでは対抗が難しく、「業界を超えた新しいチェーンを作ったり、場合によっては、GAFAと手を組む戦略も必要だ」と話す。

 豊富な資金力や研究開発力、人材などを背景に、自動運転車の開発など「リアル」な世界にもGAFAは進出。あらゆる業界での「覇権争い」が予想されるが、もともと日本が強みを持つ分野も多く、高橋氏は「(人工知能の開発・活用といった)『第4次産業革命』を進め、優位に戦わなければならない」とする。

 また、政府は現在、医療や介護、インフラなど政府や地方自治体の持つデータをオープンにし、民間と共有する戦略を進めている。高橋氏は戦略を進めることで、さまざまな「課題解決」に日本企業の力が発揮されることも期待する。

 一方、今後、IoT(モノのインターネット)が普及すれば、IoTを通じて集められる消費者行動などのビッグデータが、GAFA運営のクラウド上に保存される機会が増える。

 高橋氏は「オープンにしてはいけない企業や個人のデータの流出を防ぐ取り組みも重要だ」と主張。企業情報を自前のクラウドに保存したり、マイナンバーカードのICチップに個人情報を入れておき、情報開示は納得したときだけ行うようにするといった、「個人の手元にどうデータをとどめるかも大きな論点だ」と話した。

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