【ビジネス解読】韓国、大気汚染で脱原発政策やり玉 文在寅氏なお頑な (3/3ページ)

大気汚染で白っぽくかすんだソウル中心街=1月14日(共同)
大気汚染で白っぽくかすんだソウル中心街=1月14日(共同)【拡大】

  • 韓国ソウルの大統領府で、年頭の記者会見を開いた文在寅大統領=1月10日(AP)
  • 大気汚染で白っぽくかすんだソウル中心街を歩くマスク姿の女性=1月14日(共同)

 同紙はこの社説について経済性と安全性、温暖化防止効果などを科学的に考慮して出した結論だと主張。東京電力福島第1原発事故を経験した日本も一時は「原発ゼロ」を宣言したものの再稼働していることも取り上げた。これに対し、文政権は理念にとらわれたように脱原発を一方的に推進中だと厳しく非難した。ちなみに国民の68%は「原発の比率拡大または維持」を希望しているという。

 33万人が署名

 脱原発政策反対と新ハンウル3、4号機の建設再開に向けて国民に署名を呼び掛けている運動本部は1月下旬、33万人が署名した請願書を青瓦台に提出した。「国民誓願掲示板」の青瓦台の答弁基準である20万人を大きく上回る数だ。署名者は今も増え続けている。

 韓国内で脱原発政策の修正を要求する動きは活発化しているが、文政権に耳を傾けようという態度は見られない。文大統領は財界人との懇談会で「エネルギー政策転換の流れは中断されないだろう」といい、かたくなな姿勢を崩さない。1月中旬には原発解体研究所を設立し、解体産業を育成していくことを明かした。新規原発の建設中止に続く具体策を明示した格好で、脱原発政策に対する修正要求に徹底的に対抗していく構えだ。

 ハンギョレによれば、文政権が打ち出した既存原発を設計寿命まで使用する政策だと、韓国が「原発ゼロ」になるのは2082年だ。ドイツは22年、台湾が25年、スイスが29年に設定したことに比べ、「亀の歩みの脱原発」といわれる。当然、文氏の大統領任期中に実現するわけもなく、日本の専門家は「本気度を疑う」と指摘する。

 振り返ってみると、酷暑となった昨夏は電力不足が懸念されるとして、まさかの原発の追加稼働に踏み切った。節操のなさに多くの韓国民が首をかしげたのは記憶に新しい。インターネット上では「(韓国の)反原発は宗教的だ」「(原子力)発電技術の衰退」といったコメントが散見される。(佐藤克史)