東京五輪、輸送対策に不安 開幕まで500日、「復興」の理念鮮明に

 2020年東京五輪の開幕まで12日で500日。11月完成のメインスタジアム、新国立競技場や臨海部の選手村宿泊棟の工事は最盛期を迎え、8万人の目標に対して20万人超が応募した大会ボランティアは2月から応募者に対する説明会と面談が始まるなど、東京で56年ぶりの祭典を迎える準備は着々と進む。一方、輸送対策の議論が正念場を迎えるなど懸案も浮き彫りになってきた。

 4月以降には一般入場券販売で抽選申し込み受け付けがスタート。6月以降に本番会場で運営のリハーサルを行うテスト大会が本格化する。全国を巡る聖火リレーは夏に詳細ルートを発表。スタート地点は東京電力福島第1原発事故の対応拠点となったサッカー施設「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町、広野町)とする方向で最終調整しており、開催理念の一つである「復興五輪」の色も鮮明になってきた。

 輸送は期間中の道路の混雑緩和が切迫した課題として浮上。選手、関係者の主要輸送ルートとなる首都高速道路の交通量削減の切り札として、通常料金に上乗せして課金するロードプライシング導入の本格検討が始まった。東京都や政府は企業に時差出勤やテレワークの推進、物流抑制なども要請しているが、さらなる浸透が不可欠。関係者を運ぶ約2000台のバスや運転手の確保も懸案だ。

 昨年12月に発表された大会開催予算の計画第3版では、組織委、東京都、国で計1兆3500億円(予備費を除く)との規模を維持したが、これ以外にも国や都では多くの関連費用が発生している。経費の全体像はいまだにつかめず、関係機関には今後も丁寧な説明が求められる。