ジャカルタレター

インドネシアに残るスハルト政権期の“遺産” (2/2ページ)

 現在、世界中の研究者が真相解明に向けて調査研究を行っているが、政府はいまだに65年の人権侵害問題への謝罪を拒否、共産党が黒幕だったという立場をとっており、共産党は今でも非合法化されている。

 ジョコ大統領離れ

 5年前の選挙の際、過去とのしがらみがないジョコ・ウィドド氏が大統領になれば、こういった難問も解決に一歩近づくと信じていた人々が大勢いた。しかし、ジョコ氏が政権をとってから今まで、パプア紛争の解決に向けて対話の席が公式に持たれることもなく、国軍による人権侵害事件が続いている。

 共産党大虐殺事件に対しても、真相究明は進んでいない。スハルト政権を倒し民主化運動を行っていた当時の学生活動家層の多くは、以前はジョコ氏を熱烈に応援していたが、その反動で今回の選挙では応援しないと反応は冷ややかだ。こういったジョコ大統領離れが選挙にどう影響するか気になるところだ。

 これらの問題の最大のアクターは国軍である。解決に向けて進むかどうかも国軍の意思にかかっている。現在、国軍は文民統制下に置かれているといえ、国軍と人脈のないジョコ大統領は、国軍をコントロールするためにも退役軍人の閣僚らに従わざるを得ない。この限界を見抜いている多くのインドネシア人がどう判断するか、また、政府が特に向き合わなければならない人権侵害問題と結びついた難問にどう対処していこうと考えているのか、大統領選を戦う両陣営の動向に注目していきたい。(笹川平和財団 堀場明子)

 「ASEAN経済通信」 https://www.asean-economy.com/

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus