【揺れる森林大国】(上)集成板活用 日本足踏み (1/2ページ)

CLTを使った国内初の高層建築物。エントランスの壁面にもCLTが使われている=仙台市泉区(三菱地所提供)
CLTを使った国内初の高層建築物。エントランスの壁面にもCLTが使われている=仙台市泉区(三菱地所提供)【拡大】

 「(日本が)世界有数の『森林大国』などと言っている場合ではない」。日本を代表する木質構造材メーカーの銘建(めいけん)工業(本社・岡山県真庭市)の中島浩一郎社長はこう強調する。

 中島氏は11日からインドネシア・ジャワ島などを訪れ、合板工場を見学してきた。扱う木材はマメ科植物の「ファルカタ」。ホームセンターでおなじみの木材で、5~7年で伐採可能となる。明るい色が特徴で安価なため、現在ではインドネシアの主要産業にまで成長。日本とは対照的に林業に勢いがある。

 銘建工業の拠点のある真庭市は総面積の8割がスギ、ヒノキなどの森林だ。同市には伐採から製材・加工までできる態勢が整っており、林業で成功している数少ない自治体の一つといえる。木質バイオマス利用も盛んで、真庭バイオマス発電所の年間売上高は24億5千万円に上る。

 真庭市は例外中の例外だ。国内の林業が長らく停滞し続けたのは疑いようがない。昭和30年に6千万立方メートル以上あった国産材の生産量は、平成14年には1692万立方メートルにまで落ち込んだ。国産材の合板利用が進み、25年には2174万立方メートル、29年には2953万立方メートルまで回復したものの、日本の半分以下しか森林面積がないドイツの木材生産量は、日本の2倍以上だ。

 国土の3分の2が森林に占められている「森林大国」の日本が足踏みしているうちに、林業、木材分野のイノベーションはここ20年で急速に進んだ。

 1990年代、オーストリアを中心に薄い板を何層も重ねて強度を増した大型木製パネル「CLT」が普及、今や欧米では木材の中高層建築が主流となった。

 国内でもCLTの魅力が徐々に広まり、平成28年4月にCLT関連の「建築基準法告示」が施行、CLT利用が本格的に始まった。

続きを読む